コラムColumn
ペットもアレルギーになるの!? ペットアレルギーと空気の見逃せない関係
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「血液検査の結果アレルギー反応のある物質が40種類以上ありますね」
そんなことを言われたのは、我が家の犬がまだ1歳になる前のことだった。当時は犬を飼ったばかりで「犬もアレルギーになるの!?」と、ただただ驚いたのを覚えている。犬を飼う前に、自分に犬アレルギーがないか病院で検査をしたのだが、まさか飼った犬のほうがアレルギーになるとは……。そこから現在までの15年以上、我が家の犬はいまだにアレルギー治療を続けている。
さて、40種類以上のアレルゲン(アレルギーの原因となる物質)を宣告された我が家の犬だが、その後、皮膚疾患に強い獣医と巡り合ったことでわかったことも多い。そのうちの一つが、「血液検査の結果はかならずしもアレルギー症状として表面化するわけではない」ということだ。たとえば、血液検査ではアレルギー反応の数値が高かったラム肉に対し、実際はそこまでの反応をみせなかったし、ラム肉よりアレルギー反応の数値が低かった鶏肉には強い反応をみせた。そこで、次にためしたのがプリックテスト(少量のアレルゲンを皮膚にいれることで、肌の反応をチェックするテスト)だ。
この結果、我が家の犬にとくに強いカユミをもたらすのは、コナヒョウヒダニということが判明した。血液検査では鶏肉や豚肉、ラム肉、小麦粉など食物に対するアレルギー反応の数値が顕著に高かったのだが、我が家の犬を一番苦しめていたのは、アレルギー反応の数値が低かったハウスダストだったのだ。食物アレルギーならば、食事やおやつからアレルゲンを取り除けばよい。しかし、ハウスダストなどの環境アレルギーのやっかいなところは「ゼロにできない」ところだ。コナヒョウヒダニ対策には掃除機をかけたり水拭きをするといった掃除が有効だが、一日に何度床を掃除したところでダニをゼロにすることは不可能に近い。
薬物療法もいばらの道。残された対策は……
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そして、同時に実感したのがアレルギー治療の難しさだ。最大の問題点は、アレルギーのほとんどの治療が対処療法であるところにあった。カユミに苦しむペット向けのステロイドやインターフェロン、抗ヒスタミン剤に免疫抑制剤などはあるが、これらはいずれもアレルギーによって引き起こされるカユミを減らす薬であり、アレルギー体質をどうにかするものではない。このため、犬の体質がかわらないかぎり治療は一生続くのだ。唯一体質を改善できそうなのが減感作療法(アレルゲンをあえて少しずつ投与することで、身体をアレルゲンに慣らす治療方法)だったが、我が家の犬はコナヒョウヒダニの減感作療法でアナフィラキシーショックを起こして継続治療を断念せざるをえなかった。
さらに、前述した対処療法用の薬にも問題があった。なんといっても犬によって合う薬、合わない薬があるのだ。我が家の犬は抗炎症剤や抗ヒスタミン剤ではカユミが抑えられず、当時主流だったペット用の免疫抑制剤は副作用により吐いてしまう。唯一効いたのがステロイドだが、ステロイドは副作用の問題で長期服用には向いていない。
こうなると、残された対策方法は「ゼロにはできない」までも、ハウスダストを減らすことになる。我が家の犬が一番反応したコナヒョウヒダニの成虫は標準的な大きさは約0.3~0.4mm、比較的大きいサイズなので生きたままでは空気中に長時間浮遊しないが、乾燥した死骸やフンなどは人やペットの動きで舞い上がることが知られている。しかも、ひとたび舞い上がると30分ほど空気中を浮遊するといわれている。犬は人間よりも呼吸器の位置が床に近いので、舞い上がったダニやホコリを人間よりも多く吸い込みやすいことを考えると、床掃除はもちろん、空気清浄機の導入も重要だとわかるだろう。
アレルギー対策にブルーエアの空気清浄機が重宝
愛用していた空気清浄機は、メンテナンスがラクで高性能な「Blueair Sense+」だ
ちなみに、我が家で使用している空気清浄機は「Blueair Sense+」だ。筆者は家電ライターという職業上さまざまな空気清浄機を使用しているが、抜け毛が多い犬や猫がいる家庭で重視するのがメンテナンスのしやすさ。たとえば、清掃すべきフィルターの数が多かったり、イオンを放出したり、加湿機能がついたりといった複雑な構造の空気清浄機は、内部に抜け毛が入り込むとお手入れが煩雑になってしまう。その点ブルーエアの空気清浄機は「空気中の汚れをフィルターに吸着させるだけ」というシンプルな構造。しかもメンテナンスは半年に一回フィルターを交換するだけとシンプルだ。そのうえ、なんといってもSense+はデザインが秀逸なうえ、「手をかざすだけ」で操作できる。操作部がフラットなため、静電気で本体に張り付いた抜け毛もサッとキレイにできる点も気に入っている。
ハウスダストもしっかり抑えられているようで、使うと犬のアレルギー症状が和らぐように見える。
ここまで書いたが、じつは我が家の犬のアレルギーはこの数年かなり落ち着いている。その理由は2016年から日本で認可されたペット用のカユミを抑える新薬が我が家の犬に劇的に効いたからだ。それまでは風呂以外の時間は常に全身タイツを着せて皮膚をかきむしらないようコントロールが必要だったが、現在は裸族でのびのびと生活している。とはいえ、アレルギーがなくなったわけではないので、現在も空気の清浄性には気を使ったままだ。
Text by 倉本春
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