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こどもと遊ぼう!東京大学サイエンスコミュニケーションサークルCASTに聞いた、空気を使ったおもしろ実験

2021.04.30エッセイ

家で過ごす時間が増え、「こどもと何をして過ごそうか?」と悩んでいる人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、出張実験教室など幅広く活躍する「東京大学サイエンスコミュニケーションサークルCAST(以下CAST)」さんに、家庭で楽しめる空気に関する実験遊びを3つ、教えていただきました。ぜひ、自宅で試してみてくださいね!


東京大学サイエンスコミュニケーションサークルCASTとは?

今回お話を伺ったCASTは、「科学の面白さを、多くの人に伝えたい」という理念のもと、小学校のPTAや子供会、中学校や科学館などから依頼を受け、出張実験教室やサイエンスショーを行っている東京大学の学生サークル。コロナ禍ではweb会議システムを活用してオンラインでのイベントも開催しています。

同サークルではこれまで、「空気・光に関するショー」「電磁石を使った実験」「ノーベル化学賞に関する、オンライン実験教室」など、さまざまな実験イベントを実施。こどもの目線に立った分かりやすい解説も魅力です。

当サイトは「こどもの空気研究所」というわけで、今回空気をテーマにした実験を、CASTのメンバーである松本壱誠さん(3年生)と櫻川裕大さん(2年生)に教えていただきました。

 
作業時間10分!手のひらサイズのミニ空気砲

まずは手のひらサイズの空気砲を作ってみましょう。

【用意するもの】
● プラスチックコップ(小さめのもの)
● 風船
● ビニールテープ
● ペン(作業中に印をつけます)
● コンパスカッター
● はさみ

※作業の注意点
コンパスカッターを使ってプラスチックのコップに穴を開ける工程があります。小さなお子さんには危険な作業のため、必ず大人が行なって下さい。また、中学年以上が作業する場合も、安全のために必ずそばに大人がついて作業して下さいね。

【作り方】
1)風船を横にしてカットします。
切る位置にペンで印をつけると作業がしやすいです。

2)コンパスカッターを使って、コップの底に円形の穴を開けます。
プラスチックのコップは固いので、滑らないよう充分に注意して作業をしてくださいね。

3)こんな感じ。
穴の部分がちょっとギザギザしているので、触って指を切らないように注意しましょう。

4)風船の底の部分をぐっと伸ばして、コップの口に風船を被せます。
風船が引っ張る力が強いため、紙コップだと形が崩れてしまうことがあり、プラスチックコップを使うというわけです。

5)縁の部分をビニールテープで留めます。

6)空気が漏れないよう、しっかり留めたら完成です!

 
実験開始!空気はどんな形で出てくる?

空気の流れの視認性をよくするため、ドライアイスや線香の煙を使います。
大人が一緒に作業しましょう。

コップの中が白くなるまで煙を貯めます。

煙がいっぱいになったら、風船を指で弾いてみましょう。
デコピンするイメージです。
すると、こんなふうに煙が出てきますよ!


どうして煙はドーナツ状になるのでしょう?

ドーナツ状の煙になる原理を、簡単に解説していただきました。

「風船を弾くと、コップの中の空気が穴から出てきます。その時、飛び出した真ん中の空気は早く進みますが、外側の空気は減速し、内側から外側に巻き込まれるような空気の流れができます。これが360度全方向にできるため、ドーナツ状の煙が出来上がります」(CAST松本さん)

空気の流れのイメージ図(松本さんの解説を元に筆者作成)

煙を入れた状態で、風船を早く叩くとたくさんドーナツ状の煙が出てきます。風船の叩き方や、穴を向ける方向によって煙の出方がどんな風に変わるのか観察しちゃいましょう。

「風船の部分を摘んで引っ張ってから離すと、勢いのある空気が出てきます。紙で作った小さな的に向かって当てて、いくつ倒せるか競争しても楽しいですね」(CAST櫻川さん)

段ボールなどで作る大型の空気砲のようなパワーはありませんが、ミニ空気砲はこどもが科学に興味を持つきっかけになりそう!

 
ボールが不思議な動きをする「マグヌス効果」って何?

プラスチックコップを使って「マグヌス効果」に関する実験も楽しめます。

【用意するもの】
● ハサミ
● プラスチックコップ2つ
● タコ糸
● ビニールテープ

【作り方】
プラスチックコップを反対向きにして底の部分をあわせてテープで留めるだけ。コマの要領で、タコ糸を巻きつけて飛ばします。

実際にどのように飛ばすのか、CASTの公式YouTubeチャンネルで見てみましょう。

2つ合わせたコップが不思議な動き方をしましたね!その秘密は「マグヌス効果」によるものなのだそう。簡単に解説していただきましょう。

「コップが回転しながら進むと、コップの上下に速さが異なる空気の流れができます。空気の流れはコップの進行方向とは逆なので、後ろに向かいます。空気の流れの向きとコップの回転の向きが同じ場合、上向きの力がかかるので、コップが浮き上がる動きをします」(CAST松本さん)

「野球でよく聞く‟ノビのあるストレート”も、カーブやスライダーなどの変化球もマグヌス効果によるものなんですよ」(CAST櫻川さん)

マグヌス効果の実験は、室内だけでなく自宅の庭などで楽しく遊べそうです。

 
空気の力で、おはじきを持ち上げよう

最後に教えていただいたのは、ストロー、コップ、クリアファイルを使って、ものを持ち上げる実験です。(写真・動画はいずれもCAST櫻川さん提供)

【用意するもの】
● ストロー
● 紙コップ
● プラスチックコップ
● クリアファイル
● 割り箸
● セロハンテープ
● ハサミ
● 定規
● ペン

【作り方】

1)ストローの先に切り込みを入れ、4つに分けます。

2)正方形に切ったクリアファイルの中央にテープで留めます。

3)紙コップの底に穴を開けます。

4)クリアファイルに固定したストローを、紙コップの穴に通します。

5)最後にストローに割り箸をストローにさします。
こうするとストローが折れにくくなります。

これで完成です!
別に用意したプラスチックコップの中におはじき入れて持ち上げた動画がこちら!


(提供CAST櫻川さん)

思った以上におはじきをたくさん持ち上げてびっくり。
これは、吸盤フックと同じ仕組みだそうです。簡単に仕組みを解説していただきましょう。

「ストローを引っ張るとクリアリアファイルの蓋が持ち上がります。この時、紙コップ内側は密閉されて圧力が低くなり、紙コップの外側の大気圧の方が大きくなります。大気圧により、クリアファイルが、おはじきを入れたプラスチックコップにぴったりとくっついて離れないため、持ち上げられるというわけです。ちょっとストローを押すなどしてクリアファイルをずらして空気を入れれば外せます」(CAST松本さん)

上手に作ると、プラスチックいっぱいにおはじきなどを入れても持ち上げられるそう。家族で作って、「誰が長く持ち上げられるか」「誰がたくさん持ち上げられるか」を競争すれば、盛り上がりそうですね。

 
オンラインで実験教室を開催予定

今回CASTにご紹介いただいた実験はどれも「空気」をテーマにしたもの。実験を通して、身近な空気の存在を感じてください。これを機会に、親子で「空気」について調べてみても良いかもしれません。

ちなみに、CASTでは東京大学の五月祭(5月15日・16日)にあわせて、オンラインサイエンスショーを開催予定。こどもの好奇心を刺激する実験を行うそうなので、ぜひチェックしてみてください!CASTの松本さん、櫻川さん、ありがとうございました!

<links>
東大CAST Webサイト
https://ut-cast.net/
東大CAST Youtubeチャンネル
https://www.youtube.com/user/utcast2012
東大CAST5月祭特設Webサイト
https://ut-cast.net/mayfes2021/

Text by 伊森ちづる
ブルーエア空気清浄機

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家電ジャーナリスト、エディター
伊森ちづる

家電関係のコールセンター、調査会社での勤務を経て、家電流通専門誌の編集記者へ。 家電量販店を中心に流通企業の本部、店舗、スタッフなどを幅広く取材。
そのほか、家電製品を実際に使うレビュー記事、開発者へのインタビューなども積極的に行う。