コラムColumn
スウェーデンハウスに学ぶ、 スウェーデンが大切にする住まいと暮らし
ノルウェーとフィンランドに囲まれた北欧の国、スウェーデン。日本の約1.2倍の国土に、東京都の人口よりも少ない約1,000万人が暮らしています。ビルが並ぶ都心から少し車や電車で移動すれば、緑あふれる広大な大地が広がり、多くの人々は、自然を身近に感じながら暮らしています。
そこで今回は、tvkハウジングプラザ横浜内にあるスウェーデンの輸入住宅メーカー・スウェーデンハウスの横浜西モデルハウスを訪問。見学させていただきながら、同社の川田真純さんに、スウェーデンの人々が大切にしている住まいと暮らしについてお伺いしました。
株式会社スウェーデンハウス
スウェーデンには「親の代で家を建て、子の代でサマーハウス(別荘)を、さらに孫の代ではヨットを。」という言葉があるように、世代を越えて住み継ぐ家づくりや暮らしへのこだわりをそのままに、日本の風土に合う住まいを提供している。(写真はtvkハウジングプラザ横浜内、横浜西モデルハウス)
スウェーデンは衣・食より、住へのこだわりがダントツ高い
スウェーデンには日本と同様に四季がありますが、夏は太陽が沈まず、真夜中でも薄明のままの白夜があり、冬は日照時間が平均6時間ほどという点が日本と大きく異なります。
「極寒で暗い冬、自宅で過ごす時間がとても長くなるので、スウェーデンの人々は住空間を快適にすることについて特に深いこだわりを持っています。スウェーデンの住宅建築の現行法には、『少なくとも一室は居住者の衛生管理に必要なインテリアと設備を備えること』という規定があるほどなんですよ。『部屋の明るさは○ワット以上に』といった数値的な条件を示すのではなく、『インテリア』というところに、人が過ごす居住空間への感性の高さが表れていますよね。ほかにも、居住内に家事をするスペースがあること、外出用のコートがかけられる収納スペースをつくることなど、居住空間に関する権利とそこに暮らす人への視点に驚かされます。
また、自宅の壁紙を張り替えたり、棚をつくったり、補修することを専門業者に任せるのではなく、自分たちでやるのが一般的。家は手をかけて育てていくという考えが浸透しているので、築300年の美しい住居もめずらしくはありません。街にはペンキや壁紙を販売するお店もたくさんあり、流行の色や壁紙を暮らしに取り入れることに関しては、ファッションの流行よりも敏感だと思います。
一方で、料理にはあまり時間をかけず、オーブンで焼くだけの簡単調理や、デリを買ってきたものを並べるなど、お手軽なメニューが好まれます。スウェーデンにはお茶とお菓子を片手に親しい人とリラックスする『フィーカ』と呼ばれる習慣があります。また、親しい人と愛する我が家で心地よい時間を過ごすことを『ミューシグ』と呼んで大切にしています。衣食住という言葉がありますが、スウェーデンの人々にとっては、衣や食よりも親しい人と快適でよい時間を過ごす場である『住』が何より大切なのです。」(川田さん)
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貴重な太陽光を取り込む窓へのこだわりは格別
短い秋が終わると、一気に冬に向かっていくスウェーデン。日照時間は日に日に短くなっていき、11月以降は1日のうちの1/4程度しか日が差さない極夜が続きます。そのため、太陽の光はとても貴重です。
「太陽光はできる限り室内に入れたいけれど、冷気はシャットダウンしたい。そんな思いが窓の技術を進歩させたといえそうです。スウェーデンでは、3層構造のガラスを用いた断熱性能の高い窓が主流で、窓はなるべく大きく多めに設けることが好まれています。窓辺には、光を拡散するガラスのオブジェを置いたり、植物を置いたりして、光の入り口である窓を通して、豊かな生命力が感じられるよう工夫を凝らします。
日本でも人気のあるマリメッコに代表されるように、生命力にあふれた植物や動物柄の色鮮やかな布や壁紙は人気が高く、これらをソファやベッドコーナーなどに取り入れ、部屋の中を華やかに彩ります。北欧の家具や雑貨には、おしゃれでかわいいものが多く、日本でも人気がありますね。これは、暗い冬の間も、暮らしを明るく保ちたいという思いが反映されているのです」(川田さん)
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自分たちで修理できるようにシンプルで合理的なものを好む
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壁や窓、戸棚の増設、床の張り替えにダクトの清掃など、自宅のメンテナンスはなんでも自分で行うスウェーデン。多くの人々が平日は15時くらいに仕事を終えて帰宅できるので、親子で一緒に過ごす時間は長く、生活の知恵は親から子へと自然に受け継がれています。
「写真のようなヘリンボーンの床は、スウェーデンの住宅でもよく取り入れられています。デザイン性が高いこともありますが、傷んだ部分だけ外して新しいものに取り替えやすく、廃材の量も減らせますから無駄がありません。
自然と共存する思想を持つスウェーデンの人々は、環境負荷を減らすことへの意識が高く、家具なども使う人が修理をしやすいようシンプルな構造を持つものが多いです。同様に、家電においても、必要最小限のボタンなど、誰もが使いやすいシンプルな機能を持つものが好まれる傾向に。スウェーデン発の空気清浄機であるブルーエアも操作がシンプルでわかりやすいですよね。当社で販売しているブルーエアの空気清浄機も、オーナー様に大変好評です。スウェーデンらしい発想やデザインに共感されているのかもしれませんね。」(川田さん)
こどもをひとりの独立した存在として尊重
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OECD35カ国を対象にした「子育てしやすい国ランキング」で、毎年上位に入るスウェーデン。両親共に育児休暇が取得しやすく、こどもに関する医療費や学費、教材などは大学に入るまで基本的に無料など、子育て支援の制度がハイレベル。そんな守られた養育環境で、大人はこどもにどのように接しているのでしょうか。
「スウェーデンでは、こどもは親の所有物ではなく、一人の独立した人格としてとらえます。『子どもの権利条約』が法律でも定められ、その内容は保育園などでの活動にも反映されています。例えば、先生がこどももたちに『どんなことができるようになりたい?』と質問すると、『本が読めるようになりたい!』『木登りができるようになりたい』など、それぞれ自由に答えます。先生はこれらの答えを一つずつ書き留め、こどもたちに体験させていきます。するとこどもは、個々が抱く要求を主張できる場があることを知り、そして、ひとりひとり興味や出来ることは違うという多様性も学んでいきます。
1ヵ月以上あるサマーバケーションでは、家族でサマーハウス(別荘)の手入れをしたり、トイレもないような自然の中で暮らします。親は長期休暇中、こどもと多くの時間を共に過ごしながら、こどもたちが自分で考え行動し、自然と共存しながら生きる力を育むためのサポーターになるんですね」(川田さん)
清潔でクリーンな空気が保たれた、安全で安心できる居住空間の中で、自分の考えや欲求を肯定されて育つスウェーデンのこどもたち。時代の移り変わりの中でインテリアにも変化が生まれつつも、自らの手で居住空間を快適につくり上げていく価値観は継承されていくことでしょう。
Text by 今井美由紀(Neem Tree)
ブルーエア空気清浄機
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ママ雑誌の編集部勤務を経て、編集プロダクション「Neem Tree」のライターへ。育児雑誌、企業の顧客向け情報誌、オウンドメディア、広告、WEB記事などで、子育て、料理、マネープラン、絵本、おでかけ情報、健康など幅広い分野の取材と執筆を行う。14歳と13歳の男の子、4歳の女の子の母。
Neem Tree: https://www.neemtree.jp(外部リンク)
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