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専門家に聞く!こどもをアレルギーから守るためのダニ対策と空気清浄機の使い方

2020.03.24インタビュー

アレルギー性疾患を抱えている人は年々増えており、今や2人に1人になんらかのアレルギーがあるといわれています。わが子をアレルギーから守るために何をしたらいいのか、悩んでいる人も多いのではないでしょうか。そこで今回はアレルギー性鼻炎や気管支ぜんそくの一因とされるダニにスポットを当て、自宅でできるダニ対策と空気清浄機の使い方について、環境アレルゲンinfo and care代表で、アレルギー対策の専門家である白井秀治さんに話を聞きました。

環境アレルゲンinfo and care代表・白井秀治さん。ダニや花粉、ペットなどのアレルギーの原因の測定や分析などを行い、個人の暴露や効果的な対策法について研究し、テレビや新聞などコメントや出演も多数。東京アレルギー・呼吸器疾患研究所の環境アレルゲン班の班長として、学術活動も行う。

ダニは管理しやすいアレルゲンです

近年、アレルギー症状に悩む人が増えていますが、どのように付き合っていったらいいのでしょうか。

―アレルギー症状の原因を知り、その症状が起きないように、可能なことから環境を整えるといいと思います。そのためにはまずは、ご自分を悩ますアレルゲンが自分で管理しにくいものか、管理しやすいものかを考えてみましょう。花粉症を例に挙げてみると、花粉が飛んでくることについては、私たちにはどうしようもありません。だから管理しにくいもの。なので花粉症の方は、外出時にはマスクや眼鏡を装着するなど、個々で花粉との接触を避ける工夫をしているわけです。

自分で管理しにくいアレルゲンと、自分で管理しやすいアレルゲンについて、白井さんがまとめた表(データ提供:白井秀治さん)

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一方、卵や小麦など食物アレルギーがある人は、気づかずに口にしてしまうリスクはあるものの、自分でも摂取しないよう気をつけられるので管理できる面もあります。アクセサリーなどの金属アレルギーについては、症状を起こす金属を身につけなければいいので、比較的管理しやすいといえるでしょう。そうやって分類した場合、アレルギー性鼻炎や気管支喘息を引き起こすダニも、比較的管理しやすいアレルゲンであると考えています。

では具体的なダニ対策について詳しく教えてください

ダニアレルギーの原因となるのは、チリダニやヒョウヒダニと呼ばれるダニ。成虫でも体長が0.3mm程度しかなく、目を凝らしても肉眼で見つけるのは難しい。画像は布の上で動き回るチリダニ(撮影:白井秀治さん)

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―ダニ対策の1つとして、「ダニを取り除く、死滅させる、増やさない」というアプローチと、「ダニのフンや死骸を取り除く」アプローチがあります。特に気管支喘息やアレルギー性鼻炎などでは、ダニそのものへの対策も大切ですが、より空中に舞い上がりやすい粒子の小さなフンや死骸などが吸入性の抗原となるため、フンや死骸へ対する対策も大切です。

ダニそのものを増やさない方法として、まず大切なことは、「住まいのどこにダニが多く、そしてダニのフンや死骸が溜まっているのか?」「どこからそれが埃として舞い上がりやすいのか?」を知ることです。以前、家の中のどこにダニアレルゲンが多く溜まっているのかを調査したところ、寝具、ぬいぐるみ、座布団、カーペット、ソファ(布製)の順で多いことが分かりました。綿(わた)のような詰め物を布で包み込んでいる場所はダニが潜り込みやすく、ダニが好む温度と湿度もある(温度25℃前後、湿度60~80%前後)場所やアイテムは、ダニが増えやすいため、ダニアレルゲンとなるダニのフンや死骸が溜まりやすいのです。さらに人が触れるのでフケやアカといったダニのえさも多く、まさにダニにとって格好の住処。そこに人が来て、寝具やソファにドカッと座るとホコリが押し出され、ダニアレルゲンが空気中に舞い散ってしまうのです。

素敵に見える部屋ですが、実はダニにとっても最高の住処に……?

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そう考えると、ソファは布より革製や合成皮革などの素材、ぬいぐるみは置かないほうがダニは棲みにくいということになります。しかし寝具は使わないわけにはいきませんよね。実は多くの住まいでダニアレルゲン量が多いのは寝具です。そして寝具は空中にダニアレルゲンを舞い上がらせる大きな原因にもなり、夜に布団を敷くときや朝に布団を片付ける時には、ふだんの約1000倍ものダニアレルゲンが舞い散ることが分かっています。しかもベッドや布団は一日の中でも触れる時間が長い場所。つまりダニアレルゲン対策がもっとも必要と考えられるのは寝具で、空中にダニアレルゲンを舞い上がらせないためにも、寝具のダニ対策はとても重要です。

舞い上がるダニ・ペットアレルゲン対策として空気清浄機の活用も

1000倍!聞いただけで咳込みそうになります。どうしたらいいですか。

―掃除機がけは、布団表面のダニアレルゲンを減らすことに役立ちます。そして布団内部のダニについては、死滅させる、増やさないということも大切です。ダニは高温に弱いので、コインランドリーの乾燥機や布団乾燥機を用いた加熱処理はダニの死滅に効果的です。そして乾燥した寝具はダニを増えにくくするという効果も期待できます。またダニ駆除剤も適切な使用で役立つことがあると思います。ダニは天日干しでは死にませんが、布団が乾燥することで棲みにくくなり、ダニの増加を抑えることができます。ただしダニを殺してもフンや死骸は残りますので、掃除機がけや水洗いをして取り除きましょう。

舞い上がったダニアレルゲンを含むホコリを取り除く、というアプローチもあります。窓を開けて換気をしましょう。また空気清浄機で空気中の浮遊粒子を除去する方法もあります。舞い上がったダニアレルゲンは30分かけて床に落ちるというデータがありますので、布団の上げ下ろしの際は空気清浄機をハイパワー運転にするといいでしょう。またダニアレルゲン粒子は、気流のない部屋では発生源からそう遠くない場所に落ちることも分かっているので、空気清浄機は布団の1m以内に置くといいですね。

ホコリは床に落ちてくるということは、床掃除も大切ですよね。

―その通りです。空中に舞っているダニアレルゲン量は、30分後には10%以下になることを考えると、それだけ床に溜まっていくということになります。また花粉も重いため、床に溜まりやすいので、日常的な掃除機がけは大切です。フロアワイパーや掃除機でホコリをしっかり取り除きましょう。

カーペットに掃除機をかける際は、カーペットの潰れた毛を立ち上げると、毛足の奥に溜まっていたハウスダストが取り除きやすくなります。特に掃除機にパワーブラシなどをつけて、手元に引く動作をすることで、カーペットの毛足が立ち上がりやすくなるようです。ダニアレルゲン対策として考えるなら、ときにはじっくり時間をかけて掃除機がけするといいですね。

カーペットの掃除機がけもやり方を変えるだけで、ダニアレルゲンを含むハウスダストの取れる量が増えるかもしれません

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一方、ネコやイヌなどから発生するペットの毛やフケなどのアレルゲンはなかなか床に落ちず、長い間空気中を漂っています。住まいの換気状態にもよりますが、ダニアレルゲンと比べると、数十倍から数百倍の量が空気中に漂っているんです。ですから空気清浄機はダニ対策としてだけでなく、ペットを飼っている方にも取り入れていただくといいと思います。

「一口にダニ対策と言っても、対象が『ダニ』なのか『フンや死骸』なのかによって方法は変わってきます。今後もダニ対策の定義がより浸透し、適切な手段が広く理解され、普及する活動にいっそう取り組んでいきたい」と話す白井さん

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今回はアレルギー対策専門家の白井秀治さんから、アレルゲンの1つとして有名なダニ対策について、具体的な方法を教えていただきました。お子さんのアレルギーが気になるという方は、日常的な掃除機がけや空気清浄機の活用など、採り入れられるところから実践してみてはいかがでしょうか。

Text by 田中真紀子

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