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この「非日常」をどう乗り越える?空気を変えることの大切さ。

2020.04.02エッセイ

アラフォーの筆者、先日「突発性難聴」になってしまった。

始まりは数日前、飛行機に乗った時に気圧差で生じる「耳詰まり」のようなものが朝起きてから寝るまで1日中続いたこと。何度「耳抜き」をしても改善されず、耳はずっと詰まった状態。もともと気圧差に弱く、耳詰まりは日常だったものの、1日中改善されないというのは初めてだ。周囲の音はモヤがかかったように聞こえる。

翌日も同じ症状が続き、さすがにおかしいと耳鼻科に駆け込んだところ、突発性難聴という診断が下った。この病気、直接的な原因というものは特になく、「疲れとストレス」から来るという厄介なものらしい。そしてもう1つ先生に言われたのが「運動不足」。血行が悪いのも原因の1つだという。

思い当たる節はあった。

コロナウイルスの影響で、3月上旬から自宅でのリモートワークが続いている。記者という仕事柄、通常時は毎日いろいろな場所に出かけて仕事しているが、リモートワーク中は家から一歩も出ずに、文字通り朝から晩までパソコンの前。

元来の性格が真面目だということも災いした。慣れないリモートワークを続ける中で、一日中パソコンの前にいなければという強迫観念にも似た思いに駆られていた。呼びかけられたときに反応がなければ、仕事をしていないと思われてしまうのではないか……といういかにも「日本人らしい」思い込みがあった。

極めつきは運動不足。こどもの保育園の送り迎え(自宅から徒歩5分)以外は1歩も外に出ない生活を2週間近く続けてきたのだ。これまで通勤や仕事でそれなりに歩いていたのが一気にゼロに近くなってしまった。そりゃ血行も悪くなる。

そのほか、普段夫とシェアしていたはずの家事も、妻の私が家にいることでなぜか私が負担することが多くなる…など、慣れないリモートワークで普段とは違う疲れやストレスがどんどんと蓄積されていたというわけだ。

症状改善のために取り組んだ、たったひとつのこと

診断から1週間、突発性難聴の症状は劇的に改善された。処方された薬もあったのだが、「症状がない場合は飲まなくても良い」ということだったので、薬はほぼ飲まず、生活を変えただけで治ってしまった。やったことはたった1つ、「散歩」だ。

お昼休憩の1時間を散歩の時間として、毎日必ず外に出るようにした。行き先はどこでもいい。ランチを兼ねて駅前まで歩いたり、少し離れたコンビニやケーキ屋さんを目的地にしたりすることもあった。元来せっかちな性分で「行くあてもなくふらふらと」、「時間を気にせずのんびりと」というのが苦手な私だが、この散歩には「運動不足解消」というれっきとした目的がある。

毎日の散歩を習慣にし始めたら、これまで気づかなかったことが見えてきた。外に出ることの大切さ、人と話すことの大切さだ。家の外に出て少し歩くだけで、全身の血が巡り、いろいろなものが目に入る。

思いがけないことに、仕事の効率も上がった。30分ほどの短い散歩の間でも、外に出るだけで気分が変わり、リフレッシュできる。再び部屋に戻ったときに、部屋の中の空気が変わっているようにすら感じ、午後からはまた新たな気持ちで仕事に向かえるのだ。

幸いなことに私の突発性難聴は軽度なものだったので、ごく簡単な生活改善により治ってしまったが、生活習慣というのは人の心身に大きく関わっているものだと改めて思い知らされた出来事だった。

慣れないリモートワークをどう乗り越える?

今、日本中が“慣れないリモートワーク”を進めている。人が集まって仕事をするこれまでのやり方とは異なり、1人ひとりの仕事の成果が求められることが多く、ストレスを抱えている人も多いだろう。これまではチームでの成果を求められてきたが、ある日突然、自分1人の成果、自分1人の思考を要求され、戸惑いも多く、自分の仕事に悩みも生じる。

しかもそれを相談できる相手もいない。

リモートワークを経験している多くの人がすでに感じていることだと思うが、ビデオ会議や電話会議では「無駄話」をするムードは生まれにくい。ちょっとした相談、ふと気づいたことなどを共有できにくくなり、問題を一人で抱えてしまいがち。

だからこそ、外に出て空気を変えることが大切だ。暮らしの基盤であるはずの家での仕事は、オンとオフの切り替えが難しい。朝、仕事を始める前でも、ランチタイムでも良い、少しだけ外に出て歩くこと。それは心身のバランスを保つことにもつながるかもしれない。

最後に、1カ月以上リモートワークを続けてきた私のTIPSを共有する。

・着替えや身だしなみはいつも通りにする
・同僚や部下と必ず毎日話をする
・こまめに換気する
・お昼を食べるときはパソコンの前から離れる
・1日8時間以上は働かない
・人混みを避けての散歩やストレッチを毎日する

今の状況がいつまで続くのか誰にもわからない。これから先、外出も規制され、散歩もままならなくなるかもしれない。それでも人間は強い。今ある生活の中でできること、楽しめることを探して、この地球の一大事をなんとか乗り越えて行きたい。

Text by 阿部夏子

*こちらのコラムは2020年4月2日時点のものです。国や各自治体の指示により外出制限がされた場合には、そちらに従って行動いただきますよう、お願いいたします。