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秋はアレルギーの季節~こどもと過ごす部屋の整え方

2020.09.24インタビュー

秋は気候が不安定で、急激な温度と湿度の変化が気道や肌を刺激するといわれています。となると気になるのは、こどもの体調管理。
今回は、秋だからこそ気を付けたいアレルギー対策とお部屋の整え方について、専門家にお聞きしました。

「秋生まれの子はアレルギー体質になりやすい」と言われることをご存じですか?どういうことなのか、空気環境とこどもの健康との関係に詳しい仁友クリニックの医師、杉原德彦(なるひこ)院長にお聞きしました。

「1年の中で、最も空気環境に気をつけたいのは秋から冬にかけての気候の変化です。冬から春、春から夏は温度、湿度ともに上昇しますが、秋はどちらも急激に下がります。また秋は、まだ残暑を感じる日もあれば、急に寒くなる日もある。安定しない秋の気候は、まだ完成されていないこどもの気道や肌にとって大敵です」

秋の空気の課題は、温度湿度だけではありません。
イネやブタクサ・ヨモギなどの秋の花粉や、夏に繁殖したダニの死がいが蔓延するなど、実は秋は空気の質が乱れる季節でもあるのです。

その点についても杉原院長は次のように話します。
「肌や気管支といった身体の機能がまだ完成していないこどもは、大人よりアレルゲンの影響を受けやすく、特に生まれたての赤ちゃんは一番リスクが高いので注意が必要です」

確かに大人でも空気の乾燥が乾燥すると風邪をひきやすくなるので、小さなこどもなら、なおのこと。いわれてみれば筆者のこどもも小さい頃、秋から冬にかけてよく鼻水を出していました。


アレルギーが出やすい「秋」。こどもと過ごす部屋の整え方

ではこの時期、赤ちゃんや幼児がいる家庭では、どのようなことに気をつければいいのでしょうか。東京と大阪であわせて5カ所の保育園を運営し、こどもたちの健康管理に詳しいアセロメディカル&ウェルフェア取締役に吉川貴朗さんに聞きました。



アセロメディカル&ウェルフェアは、「ロビン保育園桜台」など、5つの保育園を運営

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「大切なのはホコリを溜めない環境づくりです。保育園では、掃除に加えてアルコール拭きもしています。ご家庭でもこまめに掃除をして、室内を清潔に保つことを心がけていただくといいと思います。

当園では掃除のほか、Wi-Fiに接続して空気の汚れを”見える化”できる空気清浄機を使っています。ハウスダストは肉眼では見えないので、客観的に空気の状態が分かるツールを採り入れるのも一つの方法ではないでしょうか」


おもちゃを上手に片づけてお部屋もホコリもスッキリ



おもちゃを片付ける際のポイントは、こどもの目につかないようにすることだそうです

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さらに、おもちゃの片付け方のポイントも教えてくれました。
「こどもがいると、どうしても部屋の中におもちゃが散らかって、ごちゃごちゃしてしまいますよね。でも部屋が散らかっていると掃除も行き届かなくなってしまうので、使わないときはできるだけしまっておきましょう。

部屋をスッキリ見せるためにおすすめしたいのが、フタ付きのおもちゃ箱を使うことです。フタなしだと中身が丸見えでごちゃついて見えるうえ、箱の中にホコリが溜まってしまいます。その点、フタ付きならホコリが溜まりにくく、外気にもあまり触れずにすみます。

また、こどもは目の前におもちゃがあると、どうしても出してしまいたくなるもの。そうなると片付けも掃除も大変です。一番いいのは、こどもの目線に気になりそうなモノを置かないことですが、それが難しい場合は出しておくアイテム数を絞り、あとは扉やカーテンなどで仕切った棚などにしまっておくといいでしょう。しまってあるおもちゃは使っていい時間を決めて、その時だけ出すようにすれば管理しやすくなります」(吉川氏)。

また、保育園や幼稚園から次々と持ち帰ってくる工作や作品類も管理が大変です。特に大きな作品などは部屋に出しっぱなしになってしまうこともありますよね。段ボールなど紙を使っていることも多く、ホコリが溜まると気になります。

「実は園でも、保護者の皆様から『持ち帰った作品をどのように管理したらよいですか』と質問を受けます。捨てるのも忍びない、でも置いておくのも場所を取る、と皆様悩まれているようです。園としては基本的には各ご家庭にお任せしていますが、悩まれているようでしたら、例えば『次の作品を持ち帰ったら前の作品を処分する』と決めてもいいかもしれませんね」

このほか、絵本についても「年代によって読みたい本がかわりますので、読まなくなった本はぜひ、お近くの保育園などへ寄付の相談をしてみてください」と吉川さん。寄付やリサイクルをすることで、自宅で管理するものの数を減らすアイディアをアドバイスしていただきました。


掃除機がけのコツは「ゆっくり動かす」こと

東京都保健福祉局が運営する情報サイト「東京都アレルギー情報navi.」によると、「ダニやカビが増えすぎないような環境づくりが大切です」と記載されています。
ダニの対策としては、「床面の掃除、寝具の処理、ダニの潜ることの少ない素材の使用、乾燥、整理整頓」などが挙げられています。

また室内の掃除機がけのポイントとしては「3日に1度は1平方メートあたり20秒を目安にゆっくりかける」、寝具については「1平方メートあたり20秒を目安にして、裏表に掃除機をかける」ほか、布団を乾燥させることなどが紹介されています。

確かに筆者は普段、掃除機メーカーを取材する機会も多いのですが、そこでも「ヘッドに回転ブラシが付いた掃除機はゆっくりと動かした方がゴミをよくかき出す」と聞きました。掃除の際は、意識してゆっくり動かすのがポイントですね。



床や寝具の掃除も大切ですが、家具の下などの掃除も忘れずに

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一方、カビ対策として挙げられているのは「湿度管理」と「通気の確保」です。特に「押入れや家具の裏側などの通気が悪いところでは、押し入れにスノコを使ったり、家具と壁との間に隙間を空ける」など、空気の通り道を確保して、カビの対策をすることが重要なようです。

空気の汚れは目に見えませんが、最近はホコリセンサーを搭載して部屋の汚れをモニターできる機能を備えた空気清浄機能もあります。これを使えば「誰かが帰宅すると空気が汚れるな」「掃除機をかけた後は空気の汚れが増えるな」など空気が汚れるタイミングや原因などの傾向も見えてくるので、自分の生活にあった対策を考えるきっかけにもなりますよ。

【引用・参照】
東京都アレルギー情報navi.
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/allergy/
室内環境対策
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/allergy/measure/indoor.html
【東京都発行】赤ちゃんのための室内環境
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/allergy/pdf/pri08.pdf
東京都発行(室内環境関連)
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/allergy/publications/print_indoor.html

【協力】
仁友クリニック
https://jinyu.or.jp/
アセロメディカル&ウェルフェア
http://acero.jp/

Text by 伊森ちづる

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ブルーエア空気清浄機 : https://www.blueair.jp/

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