コラムColumn

本読みで培った“自分を表現する力”の大切さ

2020.10.05エッセイ

いわゆる「10歳の壁」というやつなのか、我が家の息子は思春期や反抗期の入り口に立ったようで、家庭内で親と衝突を起こすようになった。生意気な発言をしたり、家族と過ごすことより友人と遊ぶ方を優先したがったり、これまでとは違う雰囲気に少し親として戸惑っている。

それにしても反抗的で、かつ行動にこだわりが強い。一度言い出すと聞かないので、最初は「ワガママだなあ」くらいだったが、だんだん少し心配になってきて臨床心理士の先生に相談してみた。すると、発達障害ではないが「五感が人より敏感な可能性が高い」と診断された。

つまり音やニオイ、触覚などが鋭敏だから他人と違う行動を取りがちで、そうした行動のせいで周囲から叱られることが多いそうだ。このような子は、人と違う感性を分かってもらえず自尊心が傷つき、塞ぎがちになるという。息子の場合、塞ぎ込むというより、逆にうるさいんですが……?


本読みの習慣が表現力の源になった

ある日、先生と面談したところ、「お子さんは言葉が大変達者ですね」と言われた。要するに、おしゃべりってこと?と思ったが厳密には違った。先生曰く「言葉をよく知っているので、自分のことを表現する術を持っているようです。今まで周囲と大きなトラブルもなくやってこられたのは、その表現力のおかげだと思います」とのこと。

たしかに、我が家では幼少の頃から「本と触れ合うこと」を重視してきた。私は文章を生業とした職業であるし、妻も「ラク勉」(最近流行っている“楽して勉強を身につける方法”)と称して、本読みの習慣化を図ってきた。2,3歳のころは“読み聞かせ”が主だったが、大きくなるにつれて“声に出しての本読み”も並行している。

これはインプット(読む)とアウトプット(声に出す)のバランスをとるためで、両方行うことにより理解力を育むことが目的だ。片方だけだと、効果が薄まる気がしている。まあ自分の経験則を元とした考えなので確たる根拠はないが……。


親子で興味を持てる本があると習慣化しやすい

しかし、一口に本を読ませるといっても、こどもは勝手に読書をするわけではない。今でこそ少し習慣化されたが、そこに至るまでの親の努力も必要だ(わが家の場合、主に妻の努力だった気もするが……)。特に思うのは、こどもは親が興味のあることに興味を持つということ。私が読む本のジャンルは、歴史・SF・アウトドア関連が多く、その中でも教育として読んでほしかったのは歴史だった。

そこで漫画や小説など親子で一緒になって学べる教材を探し与えたところ、大きな興味を示した。遠出するクルマの中で、夕食時の食卓で、戦国時代の武将や欧米の偉人について話していた結果、メキメキと知識を身につけていく。8歳の娘もつられて覚え始め、今や親でも知らない人物名が飛び交い、こっそりスマホで調べる始末だ(笑)。

絵本に始まり、歴史関連の小説、詩や地図に加えてバカバカしい漫画でも「本」なら何でも一緒に楽しむようにしている。年齢が進むにつれて少しずつ難しいものも混ぜており、目に見えて理解力が上がっているのを感じる。


自分の心を伝える技術は「言葉」で育む

こどもとは面白いもので、教えたことや学んだことを実践できるようになるまで多少のタイムラグがある。同じことを口酸っぱく指摘していると、ふとしたときにできるようになっていることがあり驚く。きっと見た目には見えないけど、大人には分からないところでさまざまなことを考え、吸収しているのだろう。

だから本も、きっとすぐに効果がなくても知識を蓄積し、それをアウトプットしていくことで花開く瞬間があるのだと思う。今回はたまたま、臨床心理士の先生から「自分のことを話せる表現力がある」と言われて気が付いたが、今後も継続していけば、もっと本から得た古今東西の事象を自分に当てはめ、困難を乗り越える力に変えていけるかもしれない。

自分の心を伝えるのは、コミュニケーションにおいて基本的なこと。ちょっと人より敏感な息子が周囲からなるべく浮かずに生きてこれたのは、本から得た言葉や知識のおかげなら、その大切さをもっと育んであげていきたいと思うのだ。

Text by 三宅隆

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