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大陸の砂漠から黄砂が大量飛散中! 影響を受けやすいこどもを黄砂から守ろう。
今年2023年も黄砂が非常に多く飛来していると、たびたびニュースになりました。みなさんも実際に、「晴れているのに空が薄黄色く霞んでいる」「洗濯物や車に黄色っぽい粉が付着している」など、黄砂が飛んでいるのを実感したのではないでしょうか。
黄砂が飛んでくると心配なのが人体に与える影響ですが、そもそも黄砂とはいったい何者なのか、なぜ体に悪いのか、対策を含めてご紹介したいと思います。
黄砂の季節は雪解けとともにやってくる
みなさんもご存じのように、黄砂は中国やモンゴルのゴビ砂漠やタクラマカン砂漠といった乾燥地帯から、偏西風に乗ってやってきます。実は黄砂は1年中飛んでいるのですが、特に3月から5月に大量に襲来するのは理由があります。2月を過ぎると砂地に積もった雪が溶け、露わになります。ところがまだ植物が育っていいないため、強風で砂が大気に舞い上がってしまうのです。6月ごろになると雨が降り、植物が生え始めると、黄砂の飛散量は減っていきます。
黄砂が発生すると、さまざまな場所に影響が及びます。発生源の近くでは、家畜や農産物が被害を受けたり、視界が悪くなって航空機の離着陸ができなくなることもあるそうですが、遠く離れた日本では、洗濯物や車が汚れたり、太陽光パネルに積もって発電量が減るといった影響を耳にします。そしてやはり、もっとも懸念されるのは、健康への影響でしょう。
小さいこどもは黄砂の影響を受けやすい
環境省によると、黄砂が人の体に与える影響については、まだ解明されていない部分が多いそう。ですが日本や韓国、台湾が行っている調査では、黄砂が大量に飛来すると呼吸器系や循環器系の患者さんが増えることから、黄砂が何らかの影響を与えていると考えられています。
そもそも黄砂自体は、石英や雲母といった鉱物で構成されています。しかし大陸から48時間ほどかけて日本に飛来している間に、空気中の微生物や金属、化学物質など、大気汚染物質が付着していくため、アレルゲンになりかねません。実際、黄砂の飛来とともに増えるのが、眼や鼻、皮膚などのアレルギー症状を訴える患者さん。また黄砂が皮膚に触れることで、金属アレルギー症状を起こす人も多いようです。
さらに心配なのが、呼吸器系への影響です。日本で観測される黄砂の大きさは直径1µm~30µmほどと小さいため、気道や肺に入り込んで直接影響を及ぼしてしまいます。特に小さいこどもやお年寄りが影響を受けやすく、黄砂が多い日はぜんそく発作で入院するこどもが大幅に増えるそうですから、注意が必要です。
※参考:環境省「黄砂とその健康影響について(PDF)」(外部リンク)
Blueair アプリでゴビ砂漠の空気質を調べたら……
空気清浄機の専業メーカー、ブルーエアが提供している無料アプリ「Blueair アプリ」は、Wi-Fiと連携したブルーエア空気清浄機の操作や屋内の空気の状態はもちろん、ブルーエア空気清浄機を所有していなくても、世界の空気の状態をリアルタイムで見ることもできます。黄砂の量そのものがわかるわけではありませんが、PM2.5やPM10には黄砂も含まれていますので、「黄砂を含む大気汚染状況」がわかるというわけです。
まずは日本を見てみたところ、今日は黄砂の飛散情報もなかったこともあって、日本列島全体が緑色。それなりにきれいなことがわかって一安心です。ただマップを世界に広げてみてみると、赤やオレンジで表示されているところもあり、場所によってはかなり汚れているようです。
試しに、黄砂の発生源とされているゴビ砂漠周辺を見てみると、案の定「非常に汚れている」。特にPM10の数値が高いようです。続いてタクマラカン砂漠周辺を見ると、やはり「非常に汚れている」と表示されました。しかも興味深いことに、この空気が汚れたエリアが西から東に広がっており、このラインがまさに偏西風の流れに沿っているのです。もちろん大気汚染の原因は黄砂だけではありませんが、今の季節は黄砂の影響がかなり大きいと実感しました。
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ここまでひどい黄砂が日本まで届くことはないと思われますが、やはり影響は目に見える形で広がっています。花粉同様に、外出前には黄砂情報をチェックして外出時はマスクをし、自宅では窓を閉めて空気清浄機を活用しましょう。ちなみに我が家では、24時間空気清浄機を稼働しているので、常に「とてもきれい」な状態を保てています。特にお子さんやお年寄りがいる家庭では、黄砂が収まるまでは対策を心がけてくださいね。
Text by 田中真紀子
ブルーエア空気清浄機
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家電を生活者目線で分析、執筆やメディア出演を行う白物・美容家電ライター。日常生活でも常に最新家電を使用し、そのレビューを発信している。専門家として取材やメーカーのコンサルタントに応じることも多数。夫、息子、犬(チワプ―)の3人と1匹暮らし。
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