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インドの大気汚染が深刻!現地のブロガーに聞いた実態は?
日本は比較的空気がきれいな国です。2024年のランキングを見ると、日本は世界180か国中27位と上位の空気の清浄な国に位置づけられています。そのため、日本に住んでいると日常生活で空気の汚れを実感することは少ないのではないでしょうか。とはいえ地球全体の環境問題を考えるうえで、世界の大気汚染事情から目を逸らすわけにはいきません。
とりわけ、近年、大気汚染が深刻化の一途を辿っているのがインドです。
主な要因として、交通量増加による自動車の排気ガス、農家による野焼き、お祭りでの爆竹や花火の使用、などが挙げられます。
2024年11月13日には、インドのニューデリーでWHO(世界保健機関)が定めるPM2.5の最大値の50倍以上を記録*し、健康への影響が懸念されています。
*:AFP通信
そこで今回は、今年2月からインドに駐在し、ブログ「インド駐在だらだら日記」を運営する、夢探しリーマンさんにインドの大気汚染の実態について詳しくお話を伺いました。
首都の近郊のエリアでも砂埃が目立つ
――現在はどのようなエリアにお住まいでしょうか。
インドの首都「デリー」のベッドタウンにあたる地区にある「グルガオン」に住んでいます。グルガオンは、急激な開発が進み、外資系企業のオフィスが多数進出し、注目が高まっているインドの新興ビジネス都市です。オフィスビルの周辺には高層アパートやショッピングセンターが立ち並んでいます。
栄えている印象をもたれますが、少し離れると未開発の土地が多く残り、スラム街も点在しています。未舗装の道もあって、まだまだ開発途中のエリアなんです。現在、多くのアパートが工事中で、建設現場から大量の土埃が発生しています。
乾燥した空気の影響もあるのか、砂漠のような細かい砂が舞い上がっているような状況です。リビング、ダイニング、3ベッドルームを備えた石造りの広い部屋に住んでいますが、気づいたら床全体が砂に覆われていて、歩くだけで足の裏が黒くなってしまいます。週に一度の清掃では、拭き掃除と掃き掃除だけでも1時間以上かかってしまいますね。
野良牛も空気環境悪化の要因に
――インドに住んでみて驚いたことはなんでしょうか。
冬になると濃霧が頻繁に発生することに驚きました。通勤時の運転の際は、1メートル先も見えないことがあり、とにかく怖い。ヘッドライトとハザードランプを点滅させながら慎重に運転して出勤することになります。
また雨が降ると排水の悪さで渋滞が発生し、通常1時間の帰宅路が3時間もかかることがあります。
また、当たり前のようにかなりの数の野良牛が道を歩いていることも驚きでした。高速道路の料金所に牛が普通に並んでいたり(笑)、時には道路の真ん中に座り込んで大渋滞を引き起こしたりします。特に濃霧時に白い牛がいると、白に紛れて見えにくいので危険ですね。でもインドでは牛は神格化されているので、追い払ったりすることはせず、ただ待つことしかできないんです。
聞いた話によると、年老いて働けなくなった牛は放して野良牛として生活させるそうです。牛には人間の食べ残しをあげる文化があるため、道はゴミだらけ。湿気が少ないので生ゴミの臭いはあまりしませんが、牛の糞が至る所にあり、その臭いが強烈なんです。
――インドといえば冬のはじめに行われる「野焼き」による大気汚染が深刻ですが、他にも空気環境に影響を及ぼす要因があるようですね。
そうですね。寒い時期は牛の糞が暖房などの燃料の材料に使われるため、牛の糞を焦がしたような独特の煙の香りが漂ってきます。野焼きの影響も相まって、窓を開けると煙のニオイがしてきて、部屋の中にいても煙たさを感じます。
――健康への影響も心配ですね。
はい。牛糞を燃料として使用しているので、煙には何か変な物質が含まれているのではないかと不安になってしまいますし(笑)、車に乗っている時でも喉が痛くなることがあるので、常にマスクは欠かせません。最近、風邪をひいて病院に行ったら、副鼻腔炎と診断されましたが、日本にいるときはかかったことがないので、これも空気環境の影響かなと考えてしまいますね。
日本の空港に降り立つと空気がおいしい!
アプリで空気質指数(米国環境保護庁の提示する指標)を見られるのですが、「Very Unhealthy(極めて健康に良くない)」「Unhealthy(健康に良くない)」であることがほとんどです。
――日本だと「Good(良い)」であることが当たり前になっていました。最後にインドと日本の空気の違いについて感じたことを教えてください。
インドから久しぶりに日本に帰国すると、飛行機から降りた瞬間に感じる空気の匂いが全く違うんです。日本の空気は無味無臭で本当にクリーンだとあらためて実感しました。
――せめて家にいるときだけでもおいしい空気が吸えるよう、空気清浄機を使ってはいかがでしょうか。
確かに今は使っていませんが、以前他の国に駐在していたときは家族が一緒だったので、家族の健康を考えて全室に空気清浄機を置いていました。でも今回は単身赴任なので、考えませんでしたね(笑)。検討したいと思います。
・・・・・
普段はあまり気にしない空気の質ですが、夢探しリーマンさんの体験を聞き、改めて私たちのまわりの空気がキレイであることのありがたさに気づかされます。それと同時に世界で起こっている大気汚染の現状を他人事とはせず、大気汚染がもたらす影響について引き続き考えていきたいと感じました。
Text by 福永太郎
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家電専門家を中心にさまざまな分野の専門家に取材を行う。ROOMIE、ライフハッカー[日本版]、ギズモード・ジャパンなどで執筆。
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