コラムColumn
アロマの香りで花粉の季節を快適に
外出時は四六時中マスクを着用する生活が当たり前になりました。王道の花粉症対策もマスク着用ですので、花粉症の症状も軽減されるのでは、と思っておりましたが、花粉は空気に乗って室内に入るため、マスクを外した隙に花粉を吸入する可能性があり、マスクの防護力も完全ではないとのこと。また花粉は顔、首、手などの肌を通じて症状を引き起こすこともあるそうです。
そこで今回は、香りの専門家である私、なかやまひろが、花粉による不快な症状を和らげてくれる効果が期待できるアロマについてご紹介します。
アロマの香りがイライラを抑える
私自身は花粉症に罹った経験はなく、少なくとも自覚はありません。ただ家族は皆、症状があり、辛そうな表情を目の当たりにし、その辛さからくるイライラしているのをひしと感じます。
日本人の 4 人に 1 人が罹患しているといわれ、その症状トップ 3 は「鼻水」40%、「眼のかゆみ」23%、「鼻づまり」21%とのこと(出典:株式会社マクロミル)。
さらにそこからくる不快感が自律神経に悪影響を与え、ストレスが溜まったり、自分自身の心身の調子だけでなく、周りとの人間関係など、日常生活に支障が出てしまうこともあります。
そんな不快感から脱出する役目の一つを、実はアロマが担います。
イライラを鎮静させたり、花粉が引き起こす症状を緩和してくれる場合があるのです。ただ、アロマは薬ではないため、治療ではないことは理解しておく必要があります。
「アロマテラピー」という言葉を聞いたことがあると思います。これは、植物の香りの成分を抽出した精油、またはアロマオイルを使って、心身のトラブルを穏やかに回復し、健康に導いてくれる自然療法です。アロマオイルには、それぞれ、特定の効果が望めるものもあり、花粉症においても、それを上手に活用するといいでしょう。
花粉症はアレルギーの一つですので、アレルギーに対して効果のあるアロマオイルや、抗炎症作用、去痰作用があるとされる香りを活用するといいでしょう。例えば、アレルギー症状への効果が期待できる香りはイランイラン、メリッサ、サイプレスなど。また、ラベンダー、パイン、カモミールは炎症を抑える効果があると言われています。ユーカリやペパーミントも去痰の効果があるとされ、ペパーミントには、鼻や目の粘膜の腫れを鎮める作用で重く感じる鼻や目をスッキリさせるのに役立つとされています。
ところで香りの成分がどのように自律神経に影響しているか、ご存じでしょうか。実は鼻から吸収された芳香成分は、電気信号へと変化します。その後、脳の大脳辺縁系、視床下部、下垂体へと伝達されます。その視床下部が自律神経やホルモンのバランスを司っている器官で、香りがこの視床下部に直接働きかけることで、自律神経やホルモンのバランスを整えることができると言われています。
以上が花粉症の症状にアロマが役立つとされる理由ですが、一方で「アロマの上手な活用方法がわからない」とのお声をよく耳にします。そこで、具体的な取り入れ方をいくつかご紹介します。
蒸気に乗せると芳香効果がアップ
アロマポットやオイルウォーマーなど芳香拡散器に精油を 2~3 滴たらして香りを焚いて楽しみます。私は精油を入れる部分にぬるま湯を入れてからオイルをたらします。香りの成分は熱に触れることで芳香しますので、ぬるま湯も同時に温まり芳香効果が倍増するアレンジです。
また芳香拡散器(アロマディフューザー)と加湿器の同時使用で、加湿器の風が、芳香拡散器からディフューズされた香りを拡散しやすくします。
最近では精油を追加できるパーツのある加湿器もあり、芳香拡散器と加湿器が合体したアロマ加湿器もありますね。また、睡眠中に顔まわりを保湿するパーソナルタイプの加湿器などは、スチームの上昇を抑えて顔まわりを集中的に保湿するので、より効率よく香りを吸収できます。
その他、お湯の入ったマグカップにオイルを入れて、蒸気を浴びる方法、マスクにアロマをスプレーする方法などもあります。
なお、他に香りを活用した花粉症症状対策はないものかと調べていたら、「漢方香」というものを発見。お香の原料の多くは漢方の生薬ですので、漢方での効能と同じ効果を期待して開発されたと推測しています。例えば、白檀には心を鎮める効果があるといわれており、漢方薬の芍薬・乾姜などを配合して「花粉症」の症状におすすめなお香があるようです。
清らかな空気のなか、自分の体調に寄り添う香りで心地良く過ごせたら、少しは気分も楽になるのではないでしょうか。自分に合った方法の香りの活用で、花粉による不快感をやわらげましょう。
*なお、アロマオイルやお香の使用は、喘息の方や敏感な方などにはおすすめしていません。医療専門家の指示を仰いでください。
Text by なかやま ひろ
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香りのコミュニケーターとして、2008年よりニューヨークで活動開始。2017年、拠点を日本へ移す。国内外の企業に招かれ「香りの活用」を提案、海外の香料業界誌や美容専門誌などに記事・コンテンツを提供、豊かな感性と柔軟な発想力を育む「香育」活動として体験型香りのイベントを開催。五感を使ったアプローチが求められる今、「香り」の可能性を日々追求中。
https://www.project-felicia.com
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