コラムColumn
こどもたちを取り巻く空気環境の改善のために
渋谷区の保育園・幼保一元化施設にブルーエア空気清浄機を100台寄贈
ブルーエアは、世界中のこどもにきれいな空気を提供する”Clean air for children(こどもたちのためにきれいな空気を)”という活動を展開しています。これまでにイギリスや韓国、中国、インドのこどもたちとその親世代に向けて、空気環境を整えることの大切さを伝えるプログラムとともに、実際に空気清浄機を寄贈して、きれいな空気を届ける活動に取り組んできました。
この度、日本でも“Clean air for children”の活動を開始することとなり、その取り組みの一環として、企業との連携や育児支援で先進的な活動を実践し、都市での暮らしをイメージしやすいエリアである渋谷区にお声がけさせていただきました。そして100台の空気清浄機を渋谷区立の保育園・幼保一元化施設に寄贈し、1834人の渋谷区のこどもたち(※1)に、きれいな空気を提供することになりました。
2019年12月19日、渋谷区役所にて、”Clean air for children”の発起人であるブルーエアのCPO(チーフパーパスオフィサー)のサラ・アルセンと長谷部 健渋谷区長が登壇する記念式典と、こどもと空気環境について考えるトークセッションを行いました。
空気清浄機専業メーカーが考える
「こどもがきれいな空気を吸う権利」のためにできること
記念式典では、ブルーエア CPO サラ・アルセン、ブルーエア日本総代理店 セールス・オンデマンド株式会社 代表取締役社長 室﨑 肇、同社マーケティングマネージャー 荒井 加奈子が登壇し、取り組みの経緯や、こどもと室内空気に関する意識調査や実証実験の結果を交えたプレゼンテーションを行いました。
サラ・アルセンは、「すべてのこどもたちは、きれいな空気を吸う権利があります。そして次の世代のためにきれいな空気を提供することが、大人や企業としての自分たちの使命です」
と、”Clean air for children”立ち上げの経緯を語ります。
そして、「世界中のこどもたちの10人に9人が汚染された空気環境で過ごしている」という事実に立ち向かうために空気清浄機専業メーカーであるブルーエアが行ってきた、韓国の保育園への空気清浄機無償提供、インドの世界一空気が汚染されたエリアでの呼吸器官の健康診断、中国でのこども病院との提携など、これまで各国で取り組んできた活動を紹介しました。
また、「イギリスの小学校では、空気清浄機を設置した後、こどもたちが風邪をひきにくくなっただけでなく、勉強意欲や集中力の向上にも繋がり、80%の学生の成績が上がった」と、こどもたちのためにきれいな空気環境を整えることは、健康や成長だけでないメリットをもたらすことも語りました。
長野県から始めた日本での取り組み
“室内空気”を整えることへの意識を広げるため渋谷区とも協働
「長野県で生まれた、世界で一番小さな赤ちゃんを知っていますか?」
日本での取り組みの紹介は、この問いかけから始まりました。
2018年、長野県の県立こども病院で、体重わずか258gの超未熟児として関野竜佑くんは生まれました。それから約半年後、病院の手厚い看護により成長した竜佑くんが退院した、という知らせは多くのメディアで報道されました。これを受け、ブルーエアの日本総代理店であるセールス・オンデマンドは、「竜佑くんや、同じように生まれてくるこどもたちにきれいな空気の中で大きく育ってほしい」という思いから、関野さんのご自宅と長野県立こども病院に、ブルーエア空気清浄機を寄贈しました。
この寄贈にあたり、関野さんご夫婦や長野県立こども病院のスタッフの方々から様々なお話を伺い、幼いこどもが影響を受けやすい”室内空気”についての重要性を認識したことが、日本での”Clean air for children“の始動へと繋がりました。
「空気汚染の影響を受けやすい幼いこどもやその親世代に、”室内空気”を整えることの大切さを広く発信していきたいと考えました」
そこで、全国的に若い世代からの関心を集め、北欧フィンランド式の子育て支援事業や、待機児童対策など先進的な取り組みが注目される渋谷区に協力を呼びかけ、渋谷区立保育園・幼保一元化施設20か所へ、ブルーエア空気清浄機を合計100台寄贈することが決まりました。
「2020年には幼保無償化施行後、初の入園時期を迎えることとなり、働くママもさらに増え、保育園を利用するこどもたちはこれからも増加していくと考えられます。しかし、こどもたちが一日の大半を過ごすその保育施設内の空気環境についての改善意識は低い、というのが現状です」
「小さなこどもは大人の2倍近くの汚染物質を体内に取り込みます」
荒井マネージャーはこのように語り、これから保育園に通うこどもや、既に通うこどもを持つ親世代に向けて、“室内空気汚染”という課題に対して意識を高めることの必要性を説きました。
また、学校法人 渋谷教育学園 渋谷幼稚園で実施し、ブルーエア空気清浄機を稼動することで、教室内のPM2.5濃度が98%以上除去される結果となった空気環境改善プロジェクトについても紹介しました。
こどもの健やかな成長のため
社会・自治体・大人が “こどもの空気環境” を考える
その後の贈呈式で、サラ・アルセンから空気清浄機100台を寄贈された長谷部渋谷区長は、
「私も3人のこどもを持つ親であり、自宅では空気清浄機を使っています。区内の公共の場にも空気清浄を設置しているものの、空気環境についての議論はこれまでしてこなかったので、いいきっかけをいただきました。幼児教育の充実というと、プログラムの充実を考えてしまいますが、健康に過ごせる環境を充実させていくことも改めて重要だと感じています」
と、父親と区長の両方の視点から、今回の活動への感想を語りました。
贈呈式終了後には、医療ジャーナリストの森 まどか氏を交え、自治体、医療、そして親目線から室内空気について考えるクロストークセッションを行いました。
森氏は、空気環境が呼吸器の病気やアレルギーにつながる身近な問題であることを説くと同時に、
「アレルギーを起こす原因となるアレルゲンは様々ですが、第一の基本的治療は『アレルゲンの回避または除去』です。食べ物や薬、昆虫などが由来のアレルゲンは意識して避けることができますが、”空気環境”については、『目に見えない』ことや『常にその中に存在する』ことから、意識の対象から外れてしまっているかもしれません。しかし、裏を返せば、それだけ身近であるからこそ、積極的に環境を整えることが求められます」
と、意識されにくい“空気環境”について述べました。
さらに、
「全国民の2人に1人は何らかのアレルギー疾患者であり、特に若年層のアレルギー疾患者は年々増加しています。低年齢で発症すると病気との付き合いも長く、一生ともなりかねませんが、小さなこどもは自分で空気環境について気をつけることができません」
と、こどものアレルギー発症の増加やその要因についても指摘。
これには、実際に親世代であるその他の登壇者からも
「自分のこどもが通っている保育園でも、花粉の時期は本当に苦しそうな子が多い」
などと、実感の声もあがりました。
森氏が、「まずはアレルギーにならないこと。そして、そのための環境を作ることが大切。小さなこどもは自分で気をつけることが難しいため、大人がきれいな空気環境を作ってあげなくてはいけません」
と、『空気環境を整えること』が育児のひとつであることを説き、これを聞いた長谷部区長も、
「アレルギー予防のため、良い環境作りに力を入れていくことが必要」と語りました。
最後に森氏は、
「”空気”という視点からのこどもたちが安心して過ごせる環境づくりは、健康面においても期待したい取り組みであり、先進的な第一歩が渋谷区からスタートしたことを嬉しく思います」
と結びました。
今回ブルーエアが渋谷区と協働したことをきっかけに、”室内空気環境”はひとりひとりの意識で変えられることが拡がり、こどもたちが健やかに成長できる環境づくりの一助になれば幸いです。
“Clean air for children”の今後の活動にご期待ください。
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