コラムColumn
23区唯一の渓谷で澄んだ空気を吸いながら涼める幸せ
今年の夏も暑かった!
東京都心の猛暑日日数はこの夏、歴代最多を更新したとかで、熱中症もだけど、地球が心配……というレベル。
私が仕事に追われていたこともあるけれど、わが家の夏休みは2泊3日でキャンプに行った以外、暑さゆえに自宅で過ごすことが多かった。
SNSで、旅行したり帰省したりと、有意義に過ごしている友人ファミリーを見かけても「人は人」と思えるのに、夏が終わろうとすると、これまでの分を取り戻すべく、急に思い出作りをしたくなるのはなぜだろう。
少し暑さが和らいできた8月下旬、そんな私がこどもたちと向かったのは、東京・世田谷にある等々力渓谷。23区で唯一「渓谷」の名のつく場所で、人気の癒しスポットだ。
近年は撮影スポットとしても人気のようで、動画を撮っている若い人たちの姿も多く見かける。
等々力渓谷までは、自宅から徒歩10分。「思い出作り」と言うのもはばかれるほどご近所であることはさておき、いざ、都会のオアシスへ。
足を踏み入れたら空気が変わった!
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この日の気温は26℃。
35℃の猛暑日と比べたらだいぶ涼しくなったけれど、歩いていると少し蒸し蒸しする。
ところが渓谷に足を踏み入れたら、もう空気が違う。頬を伝う風は、秋のものだった。
さらに交通量の多い環八から足を踏み入れたこともあり、思いきり深呼吸したくなった。
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階段を降りたら、とりあえず川を見るこどもたち。
しかし、この辺は流れがあまりないので、すぐに飽きて走り出す。
こどもって、自然の中に身を置くと、すぐに走り出すのはなぜだろう。
日々、デジタルデバイスで目をやられている母は、ここぞとばかりに緑とにらめっこ。
“川と緑”という、癒しの景色No.1ともいえる組み合わせに、抱えている原稿の本数をしばし忘れる。
続いて、川のせせらぎに耳を傾ける。自然界の音にふくまれている癒しの効果「1/fゆらぎ」。川のせせらぎと言えば、この「1/fゆらぎ」の代名詞ともいえる音ではないか!
リラックスするだけでなく、集中力もアップするそうなのでこどもたちに聴かせようとしたが、すでに駆け出した後だった。
考えてみれば、徒歩10分のところにこんな環境があるなんて、ありがたいことだ。
野鳥の声が聞こえるし、渓谷のいたるところには湧水が見られる。涼しいばかりか、空気だって澄んでいて、この上に環八が走っているなんて、嘘みたいだ。
こどものころから親しんだ景色をわが子と眺める
ちなみにこの等々力渓谷とは、多摩川の支流である谷沢川が、武蔵野台地を侵食して形成
された渓谷で、その長さは1キロちょっと。全長は意外と短くて、こどもたちが好奇心のままにスタスタ小走りで行ってしまうと、あっという間に終点のゴルフ橋に到着してしまう。
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こどもの頃からこの辺りで暮らしていた私にとって、馴染み深い風景である。
これだけ街が様変わりする中で、30年前の私とわが子が同じ景色を見ているなんて、ちょっとすごいことだ。
この先の未来も、等々力渓谷は空気がひんやり澄んでいて、緑が生い茂る場所であってほしいと切に願う。
ゴルフ橋の近くにはセンサーが設置されていて、渓谷内の気温と外の気温とを比べることができる。
早速ゴルフ橋脇の階段を上り、気温の違いを確認すると……
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ふと、35℃超えの猛暑日は、渓谷内と外の気温とは、どれくらい差があったのだろうと思った。
せっかく家から近いのだし、今年の夏はほとんど出かけなかったわけだし、毎日同じ時間の気温の違いを調べて自由研究にしたら面白かったのに……。
夏の終わりには、センチメンタルな思いと、少しの後悔がつきまとうのはなぜだろう。
Text by 羽田朋美(Neem Tree)
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編集者。出版社時代はローティーン誌やママ雑誌の編集長を歴任。独立後、編集プロダクション「Neem Tree」を設立。ママ向け媒体を中心に、雑誌、ムック、カタログ、企業のオウンドメディアやLP、広告制作など幅広く制作。近年は書籍の編集も手がける。趣味はキャンプと家族旅で、タイ、スリランカ、ボルネオ島など、自然豊かな土地を巡るのが好き。小6、小2、6歳の3兄弟の母。
Neem Tree:https://www.neemtree.jp(外部リンク)
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