コラムColumn
鼻毛と禁煙で空気質を体感した話
近年は「空気質」という言葉の認知も広がり、室内の空気をキレイにする意識が高まっています。自宅に空気清浄機があることが普通になって、有害物質を含まない、きれいな空気の環境で過ごせるようになりました。以前は空気のきれいさにそれほど敏感ではなかったように思います。
自分が初めて、空気の質について意識したのは2000年頃。きっかけは鼻毛でした。
その頃、都心にほど近いファミリー向けのマンションに引っ越しました。そこは環状八号線、いわゆる環八から少しだけ入った物件でした。マンション自体は分譲向けのしっかりした作りで、密閉性も高く満足のいくものでした。住んでみると、時間帯によっては環八を加速する車の音が聞こえることがあるな、と思うぐらいでした。
しかし、住み初めて半年ぐらい経った頃でしょうか。ふと気づいたんです。引っ越してから異常に鼻毛が伸びるのが早くなっていることに。おそらくですが、環八からの排気ガスが原因です。
2000年代初頭は東京都の排ガス規制(ディーゼル規制)前で、真っ黒な排気ガスをもうもうと吹き出すトラックが頻繁に走っていました。しかも、マンションは信号に近いため、信号が青になると、勢いよくアクセルを踏み込みます。それは排気ガスとして地域に広がっていました。そんな空気の汚なさに体はしっかり反応していたようです。
それまでの人生では鼻毛をそれほど気にしたことはありませんでした。もちろんたまに「出てるよ」と言われたこともありました。しかし、環八沿いに住んでからは人に言われるまでもなく鼻毛が伸びる。抜く。伸びる。抜く。が続きました。そのとき、空気が汚れているということを初めて実感しました。鼻毛ハサミを買ったのもその頃だったように思います。
30代の禁煙で世の中のニオイに気づく
その後、東京の郊外に引っ越しをしたので“鼻毛が伸びるの早すぎ問題”は一旦解決しました。次に空気質の大切さに気づいたのは、それからまた10年後のこと。
結婚し、こどもができたことをきっかけに禁煙をしました。それまでの禁煙は何度かトライしては失敗していましたが、初めての子が里帰り出産から帰ってくる直前に禁煙に成功。それ以来10年以上吸っていません。
しかし、禁煙したことで空気質、特にニオイに過敏に反応するようになりました。ある意味で、「町中ってこんなに臭かったの?」ということに気付いたのです。
自分では知りませんでしたが、タバコを吸っている間はニオイにかなり鈍感だったようです。かなりのヘビースモーカーだったので当然だと思います。
しかし、タバコをやめてから数ヶ月たったころには、町中の喫煙所や生ゴミの臭い、他の人のタバコのニオイや口臭、体臭、香水や化粧品のニオイにものすごく敏感になっていました。それまで自分がタバコ臭かったために気づかなかったさまざまなニオイがわかるようになったわけです。そしてこれがツライ。ニオイになれていないのでツライ訳です。
今では、喫煙経験のない妻よりもタバコのニオイが苦手になりました。喫煙所や歩きタバコのニオイがくるとサッと逃げます。妻には「どの口が言う?」と責められてひたすら謝っています。
自宅にタバコのニオイはありませんが、ニオイ自体に敏感になっているので、その対策としての空気清浄機は欠かせなくなりました。何かイヤなニオイを感じたらサッと空気清浄機のパワーをアップしています。
ただ、困っているのが自分のニオイはわからないことです。タバコを吸っていたときにあの強烈なニオイがわからなかったように、今も自分のニオイはわかりません。すでに50歳を超え、娘が3人います。たぶんクサイこともあると思いますが、「お父さんの部屋はクサイ」と言われないようにしたい。だから空気清浄機が欠かせません。
今は、鼻毛がのびる前に抜くなど、身だしなみに気をつけるとともに、空気清浄機で自宅の空気をキレイにしてニオイ対策をしています。そのおかげか、今のところは3人からニオイに関して文句を言われることはないようです。たぶん。
Text by コヤマタカヒロ
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1973年生まれのデジタル&家電ライター。大学在学中にファッション誌でライターデビュー。その後、デジタルガジェット、白物家電を専門分野として執筆活動を展開。家電の情報サイト「カデスタ」も運営。調理家電のテストと撮影のための空間「コヤマキッチン」を用意。米・食味鑑定士の資格を所有。執筆以外に企業のコンサルティングやアドバイザーなども務める。
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