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厚生労働省も注意喚起! 加湿器に菌が繁殖?正しいお手入れで快適に

2023.12.27エッセイ

乾燥が気になる季節に頼りになる加湿器。加湿はウイルス対策や花粉対策など、健康維持にとっても重要な対策のひとつです。しかし加湿器は、正しいお手入れをして清潔にしておかないとむしろ健康を害するリスクも指摘されています。加湿器を選ぶ際、そして利用する際の注意点をチェックしましょう。

そもそも加湿器の役割は?

空気が乾燥すると、気道粘膜の防御機能が低下するといわれています。厚生労働省などによると、風邪などの予防のため、特に乾燥しやすい室内では、加湿器などを使って適切な湿度(50~60%)を保つことが効果的だとしています。部屋を加湿することで、肌や髪の乾燥を抑えるほか、静電気の対策も期待できます。

とはいえ、加湿しすぎもよくありません。湿度が60%を超えると、カビやダニが発生しやすくなるほか、冬場は結露が発生しやすくなります。さらに、結露が原因でカビが繁殖しやすくなることも。そのため、最適な湿度をコントロールできる加湿器を使うことがおすすめです。

参考:令和5年度インフルエンザQ&A|厚生労働省

加湿器にはお手入れが欠かせない理由

冬場に欠かせない加湿器ですが、加湿器の水やタンクに繁殖した細菌などが室内にまき散らされると、風邪のような症状が発生することがあります。加湿器の使用をやめたときに症状が落ち着くようなら、加湿器のお手入れ不足を疑ってみてください。

実は、加湿器の水を交換せずに注ぎ足して使用したり、使用後のお手入れを怠ったことで呼吸器の病気になった例が病院で報告されているんです。また、加湿器を発生源とする細菌感染症の高齢者施設などで報告されています。このほか、ニュース報道などでも、加湿器が原因で体調を崩す「加湿器肺炎」という健康被害が話題となっていますよね。

快適に、そして健康に過ごすためにも以下の点に注意して清潔に使用しましょう。

・タンクの水は毎日交換する
・タンクの水は衛生的な水を使用する
・水はつぎ足さない
・汚れやぬめりを予防するため、タンク内部、フィルター、パーツ類を定期的に洗う
・吹き出し口などに水滴が残っている場合は拭き取る
・使用しない時は水を抜き、きれいに洗ったあと乾燥させる
・パーツの外し方、お手入れの仕方はメーカーの取扱説明書を確認する

参考:加湿器を原因とした老人福祉施設でのレジオネラ症集団発生事例|厚生労働省

加湿器選びは、お手入れのしやすさをチェック

加湿器は大きく分けて「気化式」「スチーム式」「超音波式」「ハイブリッド式」の4つのタイプがあります。

気化式は、タンク内の水をフィルターに浸透させ、ファンで風を当てて水分を気化させて潤すタイプ。洗濯物を部屋に干して加湿する方法に近いです。加湿のスピードはやや遅め。フィルターなど濡れた状態が続くので、まめなお手入れを心掛けましょう。

スチーム式は、ヒーターを内蔵し、タンク内の水をヒーターで沸騰させて蒸気を出します。湯沸かしポットのようなイメージですね。タンク内の水を沸騰させているため、雑菌が繁殖しにくいところがポイントですが、一方で、吹き出し口から出てくる蒸気は高温のため、小さな子供の火傷などに注意が必要です。

超音波式は、タンク内の水を振動で細かいミストにして放出するタイプ。ヒーターやファンがないため手頃な価格帯で手に入りやすく、卓上タイプなどコンパクトなものに多いです。ミストが冷たく感じたり、加湿器周りが水滴で濡れてしまうこともあります。また、加湿範囲が狭いため部屋全体の加湿には不向きです。タンク内の水をそのまま噴出させるので、特にお手入れを心がけたい方式です。

ハイブリット式はヒーターで水を熱して発生させた温風をファンで加湿フィルターに当て、より多くの水分を気化させる方式や、水やヒーターで加熱した水に振動を与えて霧状にして放出させる方式。気化式と温風気化式を組み合わせたり、超音波式と加熱を組み合わせるなど、2つのタイプを組み合わせているので“ハイブリット”です。加湿スピードが早く広い部屋の加湿に向いています。

いずれの場合もタンク、フィルター、パーツの取り外しやすさと洗いやすさなどをチェックして、自分にとって洗いやすい加湿器を選びましょう。

加湿空気清浄機もお手入れが必須

以上のように加湿器はお手入れが必須ですが、空気清浄機に加湿機能が搭載された加湿空気清浄機も同様です。特に加湿空気清浄機は内部構造が複雑になりがちで、お手入れが面倒なものも少なくありません。こまめなお手入れは自信がないという人は、加湿器と空気清浄機はそれぞれ単機能を用意したほうが安心かもしれません。

Text by 伊森ちづる
ブルーエア空気清浄機

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家電ライター
伊森 ちづる

家電流通業界誌記者を経て、フリーランスのライターへ。家電量販や家電メーカー関係者への取材も行う。自分でも家電を試し、売り手とユーザー両方の視点から記事を執筆。販売ツール監修、省庁に対して家電に関するレクチャーするほか、TVやWEBでも情報発信する。教育×テクノロージー、福祉×テクノロジーの取材も多数。