コラムColumn
ある日突然、愛犬が肺炎に。考えさせられたペットを飼う覚悟について
筆者の家ではチワワとトイプードルのミックス犬「チワプー」を飼っています。名前はクウちゃん。たまたま入ったペットショップで家族全員が一目惚れし、購入を決めました。最近は「一目惚れでペットを買った」というと、無責任だと言われることも多いようですが、家族全員が“ビビビ”と来たのだから、これを運命と言わずになんと言おう(笑)。もちろん今でも家族の一員として、大切にお世話しています。
そんなクウちゃんも今年7月で8歳に。まだまだヤンチャ盛りだと思っていましたが、人間でいうと48歳と、気づいたら同世代になっていました。そして犬界では“シニア犬”のカテゴリに突入。そんなクウちゃんが年末に突然、肺炎になってしまったのです。
聞いたことのない激しい咳から始まった
いつも通り元気で過ごした翌日の明け方、「ガーガーガー」という激しい咳の音で目
が覚めました。慌てて様子を見に行くと、前屈みになって苦しそうに咳を連発するクウちゃん。今までに聞いたことのない、まさにアヒルの鳴くような声です。あまりの激しさに、最初は何か誤飲したのではないかと思いましたが、呼吸自体はできている様子。抱っこして、少しでも咳が治まりそうな体勢を探し続けました。
その間にスマホで検索したところ、「気管虚脱」という病名を発見。主な症状として以下のように書かれています。
・気管の一部が押し潰されてうまく呼吸ができなくなる。
・ガーガーとアヒルの鳴き声のような咳がある、呼吸困難になることもある。
・中高齢の小型犬に多い
たぶんこれだ……いや違うかも?調べれば調べるほど不安になってしまうので検索をやめ、朝一番にかかりつけの動物病院へ(年末年始も診療してくれてありがたい!)。いろいろ検査したところ、血液検査の結果は白血球と炎症の数値が少しだけ高いとのこと。またレントゲンでは、肺野が少し白くなっていましたが、病気を特定できるほどの症状は見られません。ただ少し気道が狭くなっていると言われ、気管虚脱が頭をよぎりました。
そこで、まずは毎日ネブライザー治療に通うことに。ネブライザーとは薬液をスチームにして鼻と口から吸い込み、気道や肺に行き渡らせる投薬のこと。耳鼻咽喉科で行っているものと同じだそうですが、犬は吸引カップを当てると嫌がって逃げるので、動物病院ではケージの中にスチームを充満させて吸引させているそうです。
肺が真っ白!誤嚥性肺炎で入院に……
ところがクウちゃんの症状は、悪化の一途をたどりました。ガーガーという咳がひどく体力を消耗しているようで、睡眠もままならない様子。食欲もなくなり、4.9kgあった体重が数日間で4.3kgまで減少してしまいました。そこで再び肺のレントゲンを撮ったところ、なんと肺野が真っ白に!白血球も炎症の数値も正常範囲を大幅に超えており、肺炎と診断されてそのまま入院になってしまいました。
獣医師曰く、最初の咳の原因は分からないが、咳を繰り返した結果、誤嚥性肺炎を引き起こした可能性が高いとのこと。念のため「気道虚脱」の可能性について聞いてみましたが、その場合は気道自体が潰れるが、見た限りそれはなさそうとのことでした。
ただでさえ臆病で、病院ではいつも尻尾を丸めてガタガタ震えているクウちゃんを置いていくのは、とてもかわいそうでしたが、「今は呼吸が苦しいと思うので、酸素室で過ごしたほうがラクだと思う」と言われ、泣く泣く置くことに。肺炎にしてしまって、クウちゃんに申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。
温度差、乾燥、ホコリから愛犬を守る
結局3日間入院したあと、退院することになりました。といっても、決してよくなったわけではなく、入院中食事をほとんど摂らなかったため、体調がさらに悪化する懸念があったからです。ネブライザーの機械を購入して自宅で投薬しながら毎日通院し、改善が見られなかった場合は大学病院で全身麻酔をして検査することになりました。
獣医師からは、自宅にいる間できるだけ咳が出ない環境を作るよう指導されました。咳が出過ぎると気道が硬くなり、慢性気管支炎になる可能性もあるからです。たとえば急に冷たい空気を吸い込むと気管が刺激されて咳が出やすくなるので、散歩は気温の高い日中に行ったほうがいいとのこと。また空気が乾燥しないよう、いつもは加湿器を使っていない部屋でも加湿器を設置しました。
またホコリも咳を誘発するので、いつもはオートモードで使っている空気清浄機も、洗濯物を畳むとき、ベッドメイキングをしたときなどホコリが立ちやすいときはパワーを上げて使いました。さらに掃除機がけは朝起きる前にロボット掃除機で済ませるようスケジューリング。これらの対策をしながら、人間の風邪やアレルギー対策と同じだなと考えていました。
ペット保険に入っていてよかった!けれど……
その後も咳は治まりませんでしたが、全身麻酔による検査もリスクがあるというので、悩んだ結果、引き続きかかりつけで診てもらうことにしました。幸い、肺炎によく効くというステロイドの投薬を始めたところ、咳症状は急激に治ってきたので、ひと安心。でも小さな咳はぐずぐずと続き、治療期間はすでに1か月を超えてしまいました。
そこで気になり始めたのが診療費です。幸い、クウちゃんを購入したときにペットショップで7割補填のペット保険に入っていたし、お金のことは考えずにできることはすべてやってもらいたいと思ったわけですが、この保険は毎日通院するには、少し条件が悪かった。1日3,000円の免責があったのです。
たとえば3日間の入院費用が12万円だった場合、3日×3,000円の9,000円が免責され、残りの11万1,000円の7割、77,000円の保険金が支払われます。ところが毎日の通院での診療費は、1回あたり4,000円だったので、3,000円が免責された残りの1,000円に対して7割、700円しか支払われません。これが毎日続いたので、通院ではあまり保険の恩恵を被れなかったのです。
これまで大きな病気をすることがなかったので、この3,000円免責を気に留めていませんでいたが、8歳になる前に見直そうかな、と考えています
想像以上に“ペットは家族”だった
よく“ペットは家族”と言います。わが家でもクウちゃんがいない生活は考えられないほど大切な存在になっていますが、筆者はペットロスになるのとは少し性質が違うと思っていました。でも今回、クウちゃんが咳をし始めてからは、一度「ゴホッ」と咳をしただけで夜中に目が覚め、胸が痛くなるようになってしまいました。初めて「クウちゃんに何かあったらどうしよう」と考えてしまったのです。
もちろんクウちゃんを飼うときは、責任を持ってお世話をする覚悟はできていました。ところが一緒に過ごす時間が長くなり、愛情が深まるについて、今度は「何かあったとき」の覚悟ができなくなっていたように思います。そうはいっても、クウちゃんはもうシニア犬。これからも大きな病気をしたり、介護が必要になってくる可能性もじゅうぶんあります。
とにかく今は、1日でも長く元気で過ごせるよう、食事と運動、空気には気を配ろう。そして何かあっても、動揺せずにできる限りのことができるよう心を鍛えよう。そう思わされた経験でした。
Text by 田中真紀子
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家電を生活者目線で分析、執筆やメディア出演を行う白物・美容家電ライター。日常生活でも常に最新家電を使用し、そのレビューを発信している。専門家として取材やメーカーのコンサルタントに応じることも多数。夫、息子、犬(チワプ―)の3人と1匹暮らし。
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