コラムColumn
こども片付け講座を開催する専門家に聞いた 片付けができると人生が変わる!意外なメリットとは
お子さんの部屋がいつも散らかっていて、「ちゃんと片付けしなさい!」と毎日叱っている……というご家庭も多いのではないでしょうか。しかし片付けは、自然にできるようになるものではありません。今回は、小学3年生から中学生までを対象とした「整理収納アドバイザージュニア資格」の講師を務める整理収納アドバイザーの丸マイさんに、こどものうちから片付けができるようになる意義やメリットについてお聞きしました。
mawaru暮らし代表
丸マイさん
整理収納アドバイザー、クリンネスト(お掃除スペシャリスト)講師。個人宅の整理収納サービス「mawaru暮らし」主宰。片づけ苦手主婦だった自身の経験から、楽に片づく収納提案を行っている。ほかにも、子供からシニアまで幅広い層へ片づけや掃除の楽しさを伝える講師としても活動中。
整理収納アドバイザージュニア講座もスタート。
https://housekeeping.or.jp/about_license/ad-junior2/
そもそも親が片付けられるとは限らない
―丸さんは以前から、整理収納アドバイザーとして数多くの講座を開催されていらっしゃいますが、こども向けの講座もあるんですね。
丸さん/そもそもハウスキーピング協会が行っている整理収納アドバイザー認定講座の受講資格に年齢制限はないので、これまでもお子さんが受講することはありました。でも基本的には大人向けの講座なので、テキストの文言が難しかったり、シチュエーションがイメージしづらいという声もあったんです。そこで2022年4月に、協会が新たに、小学3年生から中学生までのジュニアを対象とした資格講座を立ち上げました。
―こどもが親以外から片付けを習う。これは意外となかった発想ですね。
丸さん/片付けはこれまで、しつけの一環であって、お父さんお母さんが家庭で行うべきものと認識されてきていますよね。でも、こどもの頃片付けが苦手だった親御さんが、大人になったら自然とできるようになるかというと、必ずしもそうではありません。すると当然、お子さんに片付け方を教えられず、「片付けなさい」と叱るしかないんです。でも、これでは悪循環。学校で勉強を習うように、片づけも学習の1つとして習うのも、いい方法だと私は思っています。
かくいう私自身、片付けが苦手だったことから、整理収納アドバイザーの理論を学び、生活が大きく変わりました。ですから、この理論を早いうちに学ぶことは、今後の人生に大きく影響すると確信しています。
「片付けないと捨てちゃうよ」は禁句!
必要なものを取捨選択する力を育む
―ジュニア講座では、どのようなことを教えてくれるのですか。
丸さん/協会が提唱する片付けの理論自体は一貫しているので、内容は大きく変わりませんが、テキストの文章をわかりやすくしたり、噛み砕いて説明するようにしています。また具体的な事例や演習も、お子さんの身の回りのものを選ぶことで、受講後すぐに実践できるような内容になっています。それで実際に「片付けてみると気持ちがいい」という実感を持ってもらい、その成功体験を積み重ねていくことで、片付けが好きになるお子さんも多いんです。
―部屋が片付いていると気持ちいいだけでなく、探し物が減ったり、モノが傷みにくくなったり、メリットも多いですよね。
丸マイ/それだけではありません。片付けを考えるうえで大切なのは、モノの取捨選択なんです。そもそもモノって勝手に家にやってくるわけではなく、自分たちで買ったりして持ち込んでいますよね。すると今まで家にあった何かを外に出さなければ、家はモノでいっぱいになってしまいます。片付けを考えることは、何を買うか、何を手放すか、モノとの付き合い方を考えることでもあるんです。これは本当に自分にとって必要なものか、常に自分に問うことで、探しモノやお金の無駄遣いが減らせたり、人間関係に向き合う姿勢も変わってくると考えています。
ここでよく勘違いしている方が多いのが、片付け=捨てる、と思っている人が多いことですね。親御さんよく言いません?「片付けないなら、捨てちゃうよ!」って。もちろん大事にしなさい、という意味を込めて言っていると思いますが、勝手に捨てられる恐怖心を与えるのはよくありません。ですから私も親御さんには「片付けなければ捨てる」は禁句、と伝えています。
―私もこどものころ、言われていました。そして今はよく言ってしまっています……
丸さん/みなさん、そうおっしゃいます(笑)。ですからジュニア講座では、お子さんだけでなく親御さんも一緒に、学んでほしいと思っています。親子が違った価値観で片付けをすると、うまくいかない部分も出てくると思うので。片付けの概念を共有すれば、もう「捨てちゃうよ」とは言わなくなると思いますから。
片付いた家は快適な暮らしのベースです。
―丸さんは、お掃除のクリンネスト資格もお持ちですが、やはり整理された部屋は清潔に保ちやすいですよね。
もちろんです。実際、お掃除でお宅を訪問しても、つくづくモノの量と汚れの量は比例しているな、と感じます。整理された部屋は、サッと掃除しやすいですが、モノが多い部屋は手が届きにくい場所にホコリが溜まったりカビが生えても、なかなか掃除できません。
そもそも散らかっているお宅は外から見えないようにカーテンを閉める傾向にあります。すると家の中が暗くなって、さらにホコリや汚れが見えづらくなり、掃除頻度が下がるという悪循環ですね。特にハウスダストアレルギーの人にとってホコリは大敵ですから、空気清浄機を使いながら、掃除しやすい家を保つことが大切ですよね。実際、私のお客様にも、部屋を片付けするようになったらラクになったという方がいらっしゃいました。
―部屋がきれいだとお掃除しやすく、カーテンを開けて部屋も気持ちも明るくなる。いいですね!
丸さん/わかってはいるんですけど、なかなかできないんですよね。忙しい毎日、お腹を空かせているお子さんのご飯を作らないといけないし、明日着るものがなくなると困るから洗濯もしないといけない。そうすると、片付けや掃除は後回しになってしまうことも理解できます。
でも家族の暮らしのベースになっているのは、やっぱり快適で清潔な家なんじゃないかと私は思うんですよね。私自身、整理収納を通じ様々なお宅でそれを実感し、みなさんにも体験してもらいたいと思っているので、ぜひお子さんと一緒に片付けに取り組んでみてくださいね。
Text by 田中真紀子
ブルーエア空気清浄機
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