コラムColumn
大切なこどもを環境アレルゲンから守りたい。 LIXILの内装タイル「アレルピュア」ができることとは
私たち「ブルーエア」は、「Clean air for children(こどもたちのためのきれいな空気)」をスローガンに、免疫力の弱いこどもを健康被害から守るために、室内の空気環境の改善に取り組んできました。
同様に住宅建材・設備機器メーカー「LIXIL」も、安心できるおうち環境の実現に取り組む企業のひとつです。なかでも、独自技術で開発した内装タイル「アレルピュア」は、アレルギー反応を引き起こす原因となる環境アレルゲンの働きを抑制し、快適な暮らしをサポートするといいます。
そこで今回は、「アレルピュア」の開発に携わった株式会社LIXILのタイル商品部の新井真佑さんと、タイル開発部の戸部真太郎さんに、製品の特徴や開発の経緯、そして今後の展望について話を聞きました。
株式会社LIXIL タイル商品部 新井真佑さん | 株式会社LIXIL タイル開発部 戸部真太郎さん |
話を聞いた人:
ブルーエア日本総代理店・セールス・オンデマンド株式会社
マーケティング本部マネージャー・荒井加奈子
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――「アレルピュア」はどのような製品なのでしょうか。
アレルピュアは、業界初の抗アレルゲン機能をもった玄関内床・屋内壁タイルです。LIXILの独自技術により抗アレルゲン剤をコーティングし、タイル表面に接触した環境アレルゲンの働きを抑制。住まいに存在するスギ・ヒノキ・ブタクサ・シラカバといった花粉、ダニの死骸、ネコやイヌに含まれるアレルゲン物質に対する効果が実証されています。
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また、室内に生息するダニは、床から50cm以内に多く生息しているというデータがあります。この高さは小さな子どもの生活範囲にあたり、低い高さへのアレルゲン対策が有効です。
――なるほど、これはこども部屋のハウスダスト対策にもよさそうですね。壁や床などの建材から発生する「ホルムアルデヒド」は、シックハウス症候群の原因ともされていますが、そのような物質への効果はどうですか。
実はアレルピュアのベースとなっているのは「エコカラットプラス」という弊社の内装壁機能タイルです。これは2000年頃にシックハウス症候群が大きな問題になったときに開発された商品で、調湿、脱臭のほか、ホルムアルデヒドなどの有害物質を低減する効果があります。ここにアレルゲン対策となる成分をコーティングしたのが「アレルピュア」ですので、ホルムアルデヒド対策としてもご活用いただけると考えております。
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なお、価格帯は「エコカラットプラス」が7,900円/m ²〜で、「アレルピュア ウォール」は10,900円/㎡~、「アレルピュア エントランスフロア」が9,800円/m²~です。
※価格は、2024年4月現在のメーカー希望小売価格です。商品のみの価格で、取付費・工事費などは別途となります。
――デザインが同じで価格に大きな差がなければ、より機能的なほうがよいと考える人も多そうですね。実際、どのような活用事例がありますか。
ご家庭では、玄関や洗面所の花粉対策、リビングや子供部屋のダニアレルゲン対策などの用途で使用して頂いています。各施設でも採用されており、小児科クリニックでは、花粉の季節に増えるアレルギー患者のための安心材料として施工されている事例もあります。
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こどもをもつお母さんの想いが開発につながる
――そもそも、アレルピュアはどのような経緯で開発されたのですか。
ユーザーに役立つ機能をエコカラットプラスに付加したいと考えたのがきっかけです。これまで抗アレルゲン機能のある壁紙はあったけれど、タイルはなかったので、「このようなタイルがあったら使いたいか」というアンケートを2万人に実施したところ、特にアレルギーをもつこどものお母さんから、需要が高いことがわかりました。
抗アレルゲンといっても、環境アレルゲンは実際に目に見えるわけではないので、効果は実感しにくいかもしれません。でも多くのお母さんたちが「少しでもこどものためになるものなら、なんでも採用したい」と考えているんですよね。
アレルピュアの研究・開発は、そうした方々の気持ちに応える製品を提供したいという思いから進められました。
――ユーザーの悩みに応える製品をつくるといっても、これまでになかった抗アレルゲン機能付きのタイルを生み出すのは、さぞかし大変だったかと思います。開発中に苦労したことがあれば教えてください。
苦労したのはデザインを維持したままタイルに機能を付与することです。タイルに抗アレルゲンの効果を付与しようとすると、変色したり傷が目立ちやすくなったりしました。また、コーティングがすぐに取れてしまい、耐久性を確保するのに苦労しました。
実際、抗アレルゲン剤の塗料の配合比率を決める試験は1000回ほど実施し、社員宅で数か月かけて機能が持続するかの検証もしました。そのため、研究から発売まで4〜5年の期間を要しました。ただその甲斐があり、使用環境によりますが、30年相当の紫外線照射試験後でも、抑制効果が維持されていることが確認できています。
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――最初に壁や床に施工するだけで、効果が持続するのはいいですね。一般的なタイルと同様に掃除の必要はあるかとは思いますが、特別なメンテナンスが不要なのは、ユーザーにとってもうれしいところでしょう。
空気清浄機との併用で、相乗効果が期待できる
――アレルピュアは空気清浄機と併用することを推奨されていますが、どのような理由からでしょうか。
アレルピュアは、表面にコーティングされた抗アレルゲン剤に環境アレルゲンが接触することで効果を発揮するものであり、空気中のアレルゲンを収集・抑制する効果はありません。一方で、空気清浄機は空気中の物質は吸引できても、床や壁にたまった物質を除去するまでの効果はないと思います。それぞれ、環境アレルゲンにアプローチできる箇所が違うため、より効果を発揮するために併用することを推奨しています。
実験も行っておりまして、社員宅のリビングの壁面にアレルピュア ウォールと、他社製壁紙を設置し、空気清浄機を24時間稼働させました。表面に堆積したホコリを採取して、ホコリ1gに対するアレルゲン濃度を測定したところ、アレルピュア ウォールのほうがダニアレルゲン濃度・スギ花粉アレルゲン濃度が低減されていることが確認できました。
――空気清浄機だけではアプローチできない箇所に効果を発揮していることがわかりますね。同時に利用することで相乗効果が期待できそうですが、どのような空気清浄機と併用するのがよいのでしょうか。
花粉は決まったところに落ちないため、玄関やリビングに空気清浄機を置く際は吸引口が一か所のものよりは、幅広い角度で吸引できるものだと、効果を発揮しやすいのではないかと思います。
また、ネコアレルゲンは軽くて舞いやすいため、天井近くの壁面に付着しやすいのですが、一般的な空気清浄機は上層部の空気を採取するのは苦手とされていますよね。ですから、対流を起こして幅広い空気を取れる空気清浄機がいいのではないでしょうか。
――そうなんですね。ブルーエアの空気清浄機には、360°から空気を吸い込む製品や、パワフルな風量で部屋の隅々まで空気を循環させる製品もあります。上下2か所から吸引する製品もありますから、上部にたまりやすいネコアレルゲン対策としても相性もよさそうですね。
[調査内容]
ネコを飼育されている埼玉県の一家庭にて、壁に付着しているホコリを拭き取りで採取し、そのホコリに含まれるネコアレルゲン量を測定。
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アレルゲンの基準統一で、製品を選びやすくする
――最後に、今後の展望などがあればお聞かせください。
アレルゲンの性能は業界の統一した評価方法がないため、メーカーごとに評価方法が分かれており、アレルゲンの低減率などがわかりにくい状況です。
そのため、SIAA(抗菌製品技術協議会)という抗菌・防カビ加工製品の評価を規格化している団体で、統一したアレルゲンの評価方法をつくることに参画しています。統一した評価方法があれば、効果のある製品を意識して選びやすくなるでしょう。
また、私たちが開発している”建材”は、効果を出せる場所が限定されている製品です。そのなかで、ユーザーの困りごとを少しでも解決できるものを開発できたらいいなと思っています。
・・・・・・・
アレルピュア開発の背景には、こどもを持つ母親の想いがありました。同様に、ブルーエアも、長くこどもの空気環境を守るための様々な取り組みを続けてきました。両社が共有する「未来あるこどもの空気を守る」という価値ある軸が、さらに多くの皆様に届くことを願い、これからも室内環境を改善する取り組みを広げていきたいと思っています。
※アレルピュアは、本製品と接触した環境アレルゲン(ダニのフンや死がい・スギ花粉などに含まれるアレルゲン)の働きを抑制する商品です。空気中の環境アレルゲンを収集・抑制する効果はありません。また、アレルギー症状が改善するなどの効果を保証するものではありません。
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