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台風が近づくと頭が痛む「気象病」はなぜ起こる?こどもの体調不良も、実は低気圧が原因かも

2023.07.03エッセイ
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梅雨や台風の時期になると、頭痛や体調不良に悩まされる人も多いのではないでしょうか。なかには「気が滅入る」という人もいるかもしれませんね。これは一般的に「気象病」と呼ばれ、近年注目されるようになっています。ではなぜ台風が近づくと体調が悪くなるのか、筆者自身の経験を交えつつ、そのメカニズムを紐解いてみました。

頭痛を我慢して早20年、原因は「気象病」だった

今から20年前、会社を辞めてフリーランスになったころから、定期的に激しい頭痛に襲われるようになりました。頭の血管が爆発するんじゃないかと思うほどズキンズキンと痛みが波打ち、首や肩もカチコチに硬くなり、吐き気まで。そういうときに限って何かしらの締め切りが迫っていて、「もっと計画的に仕事をすればよかった」と後悔することになるのですが。

頭痛に悩まされるようになったのが、フリーになってからだったので、不規則な生活が原因だろうと思っていました。夜中までパソコンに向かい、合間に適当な食事を摂り、運動もほとんどしない。そりゃ頭痛も起こってもおかしくない、とムダに我慢し続けていたのですが、数ヶ月前、そうも言っていられない恐怖を感じることがありました。久しぶりに血圧を測ったら、上が160と異常に上がっていたのです。しかも頭は割れるように痛く、嘔吐までしてしまったため、「頭が爆発する!」と慌てて脳神経外科を受診しました。

そこでお医者さんに言われたのが「典型的な片頭痛ですね」の一言(MRIは異常なし)。「今日天気悪いでしょ。こういう日多いんですよ、患者さん」。さらに先生に「こんな症状、ない?」と聞かれた内容が、まさに「先生は占い師ですか?」と思うほど当たっており、長年の不調の原因が片頭痛によるものだと分かったのです。

【該当した症状】
・脈に合わせてズキンズキンと痛む
・朝起きたと同時に痛い
・頭を大きく振ると痛みが増す
・肩こりや倦怠感を感じる
・音や光に敏感になる
・月経周期にあわせてひどくなる
・天気が悪くなるたびに発症する

片頭痛が起こる条件はいくつかあるそうですが、低気圧が近づくと発症する人が多い場合は「気象病」とも言われ、私の場合はまさにそれ。そういう言葉があるのは知っていましたが、まさか自分も該当者だったとは思いませんでした。おかげで薬を飲むようになってから、頭痛の頻度や日常的な体調不良も大幅に改善され、もっと早く自覚していれば、これまでの人生のQOLももっと上がっていたのでは、と悔やまれます。

低気圧になると体調を崩すメカニズムとは

ところで私は空調家電の役割をより深く知るために、空気の性質について勉強する機会があります。例えば空気は暖められると膨張するため軽くなって天井に溜まり、冷やされると収縮して重くなり、床付近に溜まりやすいとか、空気が暖められると飽和水蒸気量(含める水分量)が多くなるため湿度が上がりやすいなど。知れば知るほど空気の性質が人間に与える影響は大きいと実感させられます。

低気圧による体調不良も、そんな空気の性質によるものですが、なんとなく体が大気によってギューっと押し付けられているのを勝手に想像していました。でも実際は、その逆。人間はふだんから押し付けてくる気圧に負けないよう、外側に向かって圧力を発生させているため、気圧が低くなると押し付けてくる力が弱くなり、体から発する圧力のほうが高くなって頭痛などの症状を起こすといいます。私の「頭が爆発しそう」という感覚は、そういうことだったのか……。

また気圧の変化は、耳の鼓膜の奥の「内耳」が感知しているため、気圧が下がると平衡感覚のズレが起こってめまいが起きたり、自律神経にも影響を与えたりするといわれています。最近、頭痛がひどくなってきたのは、自分自身が自律神経の特に乱れやすい年齢(更年期)に突入した影響もあるかもしれません。

もう1つ、こんな原因説も興味深く思いました。それは、低気圧の状態では空気中の酸素濃度が薄くなるため、「軽い酸欠状態になっている」ということ。つまり軽い高山病にかかっていると考えてもいいのかもしれません。

こうした気象病の対策としては、薬のほかに、生活習慣を見直すことで改善することも多いようです。まずは低気圧によって体に何が起こっているかを知ることが、気象病と上手に付き合うポイントではないかと思いました。

こどもの「気象病」に気づいてあげて

こうした気象病は、大人は自覚しやすいかもしれませんが、実はこどもにも多く発症しています。朝、「頭が痛い」「体調が悪い」と言って学校に行きたがらない場合、それがいつも天気が悪い日であれば、原因は気象病かも知れません。それに気づかず、「学校をサボろうとしているのでは」「休んだら勉強が遅れる」と無理やり学校に行かせたりすると、お子さんにとって学校はしんどい場所となってしまい、不登校になってしまうケースも少なくないようです。

特に親が気象病の場合、お子さんが気象病になる可能性が高いとか。わが家の息子もこどものころから、「頭が痛い」「お腹が痛い」と学校を行き渋ることが多く、精神的なものだと思っていましたが、今思うと、気象病も一因だったのでは、と反省しています。特に昨今、こどもの頭痛が増えているのは、地球温暖化による気候変動の影響もあるようですので、天気が悪い日はお子さんの様子をよく見てあげるといいかもしれません。

Text by 田中真紀子
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家電・美容家電ライター
田中 真紀子

家電を生活者目線で分析、執筆やメディア出演を行う白物・美容家電ライター。日常生活でも常に最新家電を使用し、そのレビューを発信している。専門家として取材やメーカーのコンサルタントに応じることも多数。夫、息子、犬(チワプ―)の3人と1匹暮らし。