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実は危険なこどもの鼻ほじり、風邪やコロナの一因に?

2023.09.18エッセイ

こどものころ、鼻くそをほじって親に怒られた経験を持つ人も多いのではないでしょうか。今では自分のお子さんに「みっともないからやめなさい」と言っているかもしれませんね。
親からすると、こどもの鼻ほじりはマナーとしても気になる行為ですが、実は健康面から見ても良くないようです。
今回は、こどもの鼻ほじりによる健康被害を予防するため、鼻くそがたまる原因を解説しつつ、鼻をほじる意外なリスクについてお伝えします。

鼻くそはなぜたまる?

鼻くそは、空気中のゴミから体を守る過程で生まれるものです。

そもそも大気中にはホコリ・ゴミ・花粉・細菌など、吸い込むと病気になる可能性のある物質が多く含まれています。そのような汚れから体を守ってくれるのが「鼻毛」と「粘液」。鼻毛は汚れを引っかけ、鼻の粘膜から分泌されるネバネバとした「粘液」は汚れをくっつけることで体内への侵入を防いでいます。汚れが混じった粘液は「鼻水」となり、その鼻水が乾燥することで「鼻くそ」になるという仕組み。

このように体を守る過程で生まれる鼻くそですが、たまってくると鼻の通りが悪くなったり、違和感を感じたりして気になりますよね。小さいこどもは、ついつい鼻くそを指でほじって取ろうとしがちですが、実はこれは危険な行為と言われています。

鼻ほじりで風邪をひきやすくなる理由

鼻をほじると、指や爪で鼻の粘膜を傷つけることがあります。そうすると、鼻血の原因になるだけでなく、細菌やウイルスが侵入し、かゆみや炎症を引き起こすことも。

さらに、鼻をほじることによって風邪をひきやすくなるとも言われています。

そもそも、風邪は一般的にウイルスによって引き起こされますが、主な感染経路は2つあります。1つ目は飛沫感染。風邪を引いている人が咳やくしゃみをして、口や鼻から放出された飛沫を吸い込むことによって感染します。2つ目は接触感染。ウイルスが付着したものに触れた手で、鼻や口に触れることによって感染します。

つまり鼻をほじることで、ウイルスが鼻から侵入することもあるため、鼻ほじりの習慣がある人は、風邪を引くリスクが高まると考えられているのです。

新型コロナウイルスや肺炎球菌の感染症リスクも指摘

さらに鼻ほじりは、風邪以外にも、さまざまな病気のリスクが高まる可能性があります。

実際、オランダ・アムステルダム大学の研究チームが行った研究によると、鼻ほじりの習慣がある人は、新型コロナウイルスに感染するリスクが高まる可能性が指摘されています。この研究は、404人の医療従事者を対象に行われ、鼻ほじりの習慣と新型コロナウイルスの関係を統計的に分析したもの。その結果、鼻をほじる習慣がある人は、習慣がない人より新型コロナの発症率が高かったと発表しました。

さらに英王立リバプール大学病院の研究によると、鼻ほじりによって鼻腔内に常在している「肺炎球菌」が拡散する危険性が確認されたとのこと。肺炎球菌は、肺炎球菌感染症を引き起こし、肺炎や中耳炎を起こす可能性のある細菌で、主な感染経路はこれまで飛沫感染とされていましたが、本研究によって「鼻をほじったり、こすったりするだけでも肺炎球菌が広がる」ということが確認されたといいます。しかも肺炎球菌感染症を発症する大半が5歳未満だそう。

いずれも鼻ほじりが手に付着した菌やウイルスを鼻の粘膜にこすりつける行為であり、健康リスクが高まることを指摘しています。

マナーの面で、こどもが鼻をほじることに注意を払っている人も多いでしょうが、どうやら健康への影響にも意識を向ける必要があるようですね。

鼻毛はフィルター代わり。切りすぎないことが大切

また、鼻ほじりだけでなく、鼻毛を切りすぎることも病気のリスクを高めると言われています。

前述した通り、鼻毛はホコリやゴミなどを引っ掛け、汚れから体を守っています。これは、空気清浄機がホコリ・細菌・花粉などをフィルターで吸着することで空気をキレイにしているのと同じ原理です。

鼻毛を切りすぎるとフィルター機能を果たせなくなり、ウイルスが体内に侵入しやすくなってしまいます。体を病気から守るためにも、鼻毛の切りすぎは控えたほうがよさそうですね。

まだまだウイルスの脅威が続いており、気を抜くことができない昨今。子どもが病気になることを避けたいものですが、鼻をほじる癖をやめさせるのはなかなか難しいものです。上手に鼻をかむ方法を教えるなど、地道に対処法を探しつつ、引き続き手洗いを励行し、手指を清潔に保つことが予防策といえそうです。

Text by:福永 太郎
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ライター・編集者
福永 太郎

家電専門家を中心にさまざまな分野の専門家に取材を行う。ROOMIE、ライフハッカー[日本版]、ギズモード・ジャパンなどで執筆。