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森の空気は本当にキレイ?自然体験がこどもに与える影響とは

2023.09.29エッセイ

筆者が育った東京・武蔵小金井は、東京でありながら自然環境に恵まれた場所。かつて住んでいた自宅のすぐ側には川が流れ、歩いて数分の場所には野原が広がっていました。こどもの頃はザリガニ捕りや昆虫採集、オオバコを使った草相撲などをして、自然の中でよく遊んでいました。

そのような経験から、自然に対して漠然としたよい印象があり、もしこどもを育てることになれば、自然と触れ合わせたいと考えていますが、実際はどうなのでしょうか。
今回は、こどもが自然に触れて育つメリットについて調べてみました。

そもそも、森の空気は本当にキレイ?


現在の武蔵野公園(筆者撮影)


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自然が豊かな場所に行くと、空気が「キレイ」「おいしい」と感じられますが、実際はどうなのでしょうか。

森に生えている木や植物は空気中の汚染物質を吸収し、酸素を放出することで空気をキレイにする働きをしています。

空気中にはさまざまな大気汚染物質が含まれており、なかでも二酸化炭素は地球温暖化への影響が心配されている物質。また、二酸化炭素の濃度が高くなると集中力を妨げる原因になるという報告も。

森の木々や植物は、光合成によって二酸化炭素を吸収し、酸素を放出します。その結果、二酸化炭素の濃度が低下し、森林が多い地域では空気がキレイであり、さらに多くのよい影響を健康に与えるといわれています。

また、木々から放出されている芳香成分の「フィトンチッド」には、自律神経の安定、ストレスの軽減、免疫力の向上などさまざまな健康効果が期待できるそう。

自然が豊かな場所は、空気がきれいでフィトンチッドの濃度も高いため、清々しい印象を受け、空気がおいしく感じられるのでしょう。自然が豊かな環境は健康にもよさそうですし、子育ての観点からもよい影響があるようです。

自然体験はこどもに好影響。学習意欲・感受性を育てる

文部科学省は、「自然の中で自然を活用して行われる活動」である「自然体験」を、「社会を生き抜く力」として必要な基礎的な能力を養う効果があるとして推奨しています。

また、自然に触れる体験をした後に勉強のやる気が出るというデータも。これは、自然を通じて出会う課題や刺激的な体験が、問題解決能力や興味関心を向上させることと関係があるようです。



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さらに、幼児期に自然の中で草花や小さな生き物に触れて遊ぶことは、五感を刺激し、豊かな感受性を育むことが期待できます。自然の美しい四季の変化を感じることや、生き物に触れることから得られるインスピレーションもありますので、情操教育の一環としても役立つでしょう。

また、自己肯定感・社会性・共感性の向上など、さまざまな好影響が報告されています。心身ともにこどもと自然を触れ合わせることは大切といえるでしょう。

自然体験は何をすればよい?自治体の取り組み

ただ、都市開発の影響もあり、こどもの「自然体験」は全国的に減少傾向に。昨今は、自然体験をすることが難しくなっているため、積極的に自然体験を企画していく必要があるでしょう。

取り組みやすいところでいえば、近所の公園の散策。足元に目を向けるだけでも、道端に咲いている草花は季節によって異なります。図鑑を見ながら四季による草花の違いを知るという楽しみ方もありますね。

以下に自然体験の例を列記してみました。

[自然体験の例]
・動植物観察
・木登り
・星空観察
・登山
・キャンプ
・釣り
・ハイキング
・水遊び
・昆虫採集
・貝殻広い
・天体観測
・昆虫の標本作り
・押し花
・アスレチック など

自然体験に迷ったら、自治体が主催しているイベントに参加するのもおすすめです。筆者の地元でいえば、小金井移動児童館「わんぱく号」という野外行事が定期開催されています。小学校の頃に参加した際は、それぞれが持ち寄った食材でスープを作ったりしました。

自然の中で行うイベントは、学校では出会わない人々との共同作業などもあり、当時の自分にとって刺激的で印象深いものでした。小学校の同窓会では、今でもわんぱく号の思い出を語り合います。大人になっても覚えているような経験はなかなかできないものですので、興味があればぜひ参加してみてはいかがでしょうか。

また、環境庁のサイトには、全国の自然体験を調べられるページもありますので、こちらも合わせてチェックしてみてください。


武蔵野を流れる野川(筆者撮影)


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室内の空気も大切。こどもの空気ケアは不十分と感じている

さて、森のキレイな空気に触れることは心身に良い影響があることがわかりましたが、同様に室内の空気環境もこどもに影響を与えます。

室内の空気が汚れていると、花粉・ホコリ・ダニ・カビなどの物質によってアレルギー性鼻炎や喘息などの呼吸器系の疾患が引き起こされる可能性も。また、建材・家具などから発生される化学物質により、目やのどの痛みや、吐き気、集中力の低下などの体調不良を引き起こす「シックハウス症候群」の原因になることもあります。

こどもは大人よりも有害物質を代謝する能力が低いため、室内の空気の汚染物質による影響を受けやすいです。さらに、こどもが空気から取り込む物質の量は、体重kgあたりの比較で大人の約2倍なので注意が必要。
室内の空気環境を改善するには、適切に換気をすることが重要です。また、空気清浄機を利用して汚染物質を吸い取り、空気をきれいにすることも検討してみてください。

参考:4人中1人の保護者がこどもの空気ケアが不十分と感じている!建材などから発生する化学物質はシックハウス症候群の原因にも

こどもの頃から漠然とよいと思っていた自然との戯れは、こどもの発育にもよいことがわかりました。小金井には伝統的な桜の名所として有名な「小金井公園」があり、秋には紅葉も観られます。自然を体験する場所に悩んだら、ぜひ遊びに来てください。

Text by 福永 太郎
ブルーエア空気清浄機

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ライター・編集者
福永 太郎

家電専門家を中心にさまざまな分野の専門家に取材を行う。ROOMIE、ライフハッカー[日本版]、ギズモード・ジャパンなどで執筆。