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大気汚染が骨粗鬆症の原因に?見逃せない、排気ガスが骨に与える多大な影響

2024.05.07エッセイ

更年期、骨粗鬆症、変形性膝関節症等々、加齢に伴う諸症状。10年ほど前までは、症状が気になって病院に行っても「あなたはまだ若いから大丈夫」と言われていましたが、最近は「そろそろ気をつけたほうがいいですね」などと言われ始め、現実を突きつけられています。昨日と今日の自分は同じだと思っていたけれど、10年前の自分とは別物であることは、スマートフォンに表示される「過去の思い出」写真で痛感させられていますが……。

そんな加齢に伴って起こる症状の中でも、最近心配しているのが骨粗鬆症です。旭化成ファーマが運営する骨粗鬆症啓発サイト「骨検®️(ほねけん)」によると、骨量は10代から増えていき、20歳ごろに最大値になるものの、50歳近くから減少を始めます。特に女性は閉経を機に、骨量が急激に減少していき、60代の5人に1人は骨粗鬆症と言われています。

ちなみに日本内分泌学会によると、閉経によって骨量が減少する原因は、エストロゲンと呼ばれる女性ホルモンの減少が大きく影響しています。エストロゲンは、古い骨を吸収する「破骨細胞」と、新しい骨を作る「骨芽細胞」の両方に作用していますが、閉経によってエストロゲンが欠乏すると、破骨細胞による骨吸収が亢進し、骨量が減少すると考えられているそうです。

実際、母や義母も70代になったころから骨粗鬆症を予防する薬を飲み始めているし、避けては通れない道なのか、と半ば諦めの気持ちも。ただ「骨検®️」によると、骨粗鬆症になるとちょっとした転倒で背骨や腕の付け根、足の付け根、手首などの骨が折れたり、スカスカでもろくなった背骨の一部が気づかないうちに潰れるように骨折してしまうこともあるそうで、QOLに大きく影響してしまいます。

ちなみに筆者はこどものころから、何度転んでも骨折をしたことがなく(顔面から転んで前歯は折りましたが……)、自分は骨が丈夫だと信じていました。しかし2年前、自転車から降りようとしてよろけて転んだだけで、足の指を骨折してしまったのです。やはり骨が脆くなり始めているのかも。

排気ガスに含まれる窒素酸化物が骨を弱める?

そんななか、驚くような記事を目にしました。アメリカ・コロンビア大学の研究者が行った研究によると、長期間大気汚染にさらされた人ほど、骨粗鬆症の発生率が高まるというのです。

概要としては、2003年から2010年までの間、アメリカ大西洋沿岸地域に居住する65歳以上の約920万人のデータを分析したところ、PM2.5濃度の高い地域に住む人は、そうでない地域に住む人より骨粗鬆症関連の疾患による入院率が高かったというもの。さらにボストン地区で約8年間、692人の低所得中年成人を調査した結果、PM2.5や自動車の排気ガスの濃度が高い地域に住む人ほど、副甲状腺ホルモンの数値と骨密度が低いという事実を確認したといいます。

また別の記事には、大気汚染原因物質の中でも特に、窒素酸化物が腰椎の骨量減少に大きな影響を与えているとありました。窒素酸化物こそ自動車の排気ガスに含まれるもので、東京や大阪の都市部で確認される窒素化合物のうち、全体の半分以上が自動車の排気ガスから出ているとしています。排気ガスが喘息などに影響を与えることは知っていましたが、まさか骨量の低下まで促進していたとは……。

豊かな緑が天然のフィルターに

さらにもう1つ、最近発表された研究結果でも大気汚染と骨の影響が示唆されるものがありました。こちらは、中国・中南大学の研究者によるもので、「緑地の近くに住んでいる人は、それ以外の場所に住んでいる人に比べて骨密度が高い傾向がある」というものです。

概要としては、平均12年のモニタリング期間中に骨粗鬆症を発症した人の居住地を調べたところ、緑化度が高い地域に住んでいる人ほど推定骨密度が増加し、骨粗鬆症の有病率が低下しているというもの。衛星画像をもとに緑地の量を数値化したところ、その緑化度が高まるほど骨密度が増加し、骨粗鬆症リスクが低下したというのです。
こちらも骨量低下の要因は、大気汚染物質の中の窒素酸化物とPM2.5であるとし、酸化ストレスや炎症、ホルモンバランスが骨粗鬆症リスクを高め得るとしています。この場合、大気汚染の汚染度の高さというより、木や植物が天然のフィルターになってリスクを低下させているのでは、としています。

看過できない空気の汚れと健康の関係

調査の方向性は異なるものの、いずれも大気汚染、特に排気ガスに含まれる窒素酸化物が骨量の低下まで引き起こしていることを知り、恐ろしく感じました。骨粗鬆症は年を重ねたら、なっても仕方ないと思っていましたが、長年汚染され吸い続けた結果とは。

筆者の年齢になってしまえば、もうできることは少ないかもしれませんが、未来あるこどもたちに、この空気を吸わせ続けるわけにはいきません。改めて大気汚染の問題を深刻に受け止め、緑のフィルターの代わりに空気清浄機やマスクを使用したり、できるだけ汚染物質を吸い込まないよう対策するとともに、大気汚染問題を自分ごととして捉えるべきだと痛感しています。

Text by 田中真紀子
ブルーエア空気清浄機

参考文献:
・旭化成ファーマ「骨検
・日本内分泌学会「閉経後骨粗鬆症
・The LancetAir「Air pollution: a largely neglected risk factor for osteoporosis
・BMJ journal「Associations of residential greenness with bone mineral density and osteoporosis: the modifying effect of genetic susceptibility

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家電・美容家電ライター
田中 真紀子

家電を生活者目線で分析、執筆やメディア出演を行う白物・美容家電ライター。日常生活でも常に最新家電を使用し、そのレビューを発信している。専門家として取材やメーカーのコンサルタントに応じることも多数。夫、息子、犬(チワプ―)の3人と1匹暮らし。