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気になるあの場所の空気は? Blueairアプリが世界の空気に関心を広げるきっかけに
私たちがいつも吸っている空気は、目に見えないので、本当にキレイなのか気になりますよね。そんな不安を解消するツールのひとつが空気清浄機のディスプレイやアプリではないでしょうか。ランプの色や数値で、空気の汚れを可視化してくれます。特にアプリの場合、室内だけでなく室外の空気の質もチェックできる場合が多いのもポイント。さっそく、こどもと一緒に気になる地域の空気の質をチェックしてみました。
今回使ったのは、ブルーエアが無料で提供している、Blueair アプリです。
Wi-Fi機能搭載のブルーエア製空気清浄機と連携させることで、電源ON/OFF、運転スピード切り替え、スケジュール設定が可能です。また、スマホのGPS 機能を利用して自宅から離れると自動でスタンバイモード、帰宅すると自動でONになる設定もできます。操作は直感的で簡単です。取扱説明書もアプリからすぐにチェックできます。
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■屋外空気の質をモニタリングする機能
PM2.5、PM10、一酸化炭素、二酸化窒素、オゾンなど世界各国の屋外の空気環境をリアルタイムで確認できます。住んでいる地域や外出先などを設定すると、「いまここ」の空気の質がわかります。指定をするだけなので、離れた地域のチェックも簡単です。
■室内空気の質をモニタリングする機能
本体に内蔵したセンサーで感知した室内のPM2.5、tVOC、温度、湿度を、リアルタイムでモニタリングします。その結果を踏まえて空気質改善のヒントを提供するほか、データを蓄積します。空気環境の変化をグラフで表示するため、直感的で分かりやすいです。
今回使ったのは屋外空気のモニタリング機能です。
「気になる都市の空気をみてみよう」と息子を誘うと、「エジプトがいい!」との返事。博物館でエジプトに関する展示を見て以来、同国のことが気になって仕方がない様子。
さっそくエジプトの空気をチェック。マップを開いて場所を指定します。遺跡があるルクソール指定してみました。
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空気の質はきれいな順に青、緑、黄色、オレンジ、赤、オレンジ、黄色、緑、青の5色で表示されます。
マップでみると、目的の場所だけでなく周辺の空気の状態も分かります。マップ上にピンを置くと、さらに詳細をチェックできます。
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普段から外出先で空気の質をチェックしていたのですが、いつも行く場所は、緑か青の状態で表示されていたので、赤や黄色が表示されて息子はびっくり。
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空気の汚れの理由をいろいろ調べると、エジプトは人口が増加しており、都市部では車の交通量が増加しています。こうした車両からの排気ガスのほか、工業化による工事からの排気による大気汚染が問題になっていることがわかりました。また、秋には収穫後に農業廃棄物を野焼きするため、これも大気の汚れの原因になっているそうです。
「そういえば学校でエジプトのピラミッドや、ギリシャの神殿は酸性雨とかで崩れてきているって話を聞いたよ」と息子も学校の授業を思い出した様子。実際に空気のモニタリング情報をみることで、授業内容の理解が深まったようでした。
【参考資料】
https://www.env.go.jp/earth/coop/coop/c_report/egypt_h16/japanese/pdf/016.pdf
https://www2.jica.go.jp/ja/evaluation/pdf/2012_0604376_4_f.pdf
https://www.gikai.metro.tokyo.jp/international/oversea/19-1/report1.html
友だちが引っ越したタイ・バンコクの空気は?
次に調べたのは、タイのバンコク。息子の仲の良い友だちが親の仕事の関係で引っ越した場所です。フルーツが美味しいと友だちから聞き、いつか行ってみたいと話していたところでした。
調べていくと、タイもバンコクを中心に、大気汚染が問題となっているよう。
自動車の利用が増えたことによる排気ガス、焼き畑農業による煙、工場の排気も課題となっていること。さらにタイはサトウキビの絞りかすなどを使ったバイオマス発電を導入していますが、発電時の煙に含まれる不純物が大気汚染の原因となっているということなども分かりました。
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【参考資料】
https://www.env.go.jp/earth/coop/oemjc/thai/j/thaij1.pdf
https://www.jica.go.jp/press/2021/20220225_30.html
https://www.env.go.jp/earth/coop/lowcarbon-asia/project/data/JP_THA_2019_01.pdf
https://www.meti.go.jp/policy/voc/h30kaigai_taikikisei.pdf
大気汚染が問題になっているインド
ちょうど学校でSDGsに関する授業が行なわれているそうで、息子から「そういえばインドは空気の汚れが問題になっていると先生が言っていたけど、どれくらい違うんだろう?」と質問が出たので、インドもチェック。
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インドのグラフをみて、「え!こんなに違うの!」と息子もショックを受けていました。大気汚染が問題とは知っていたものの、グラフで比較したことで、はっきり違いが分かり、驚いたようです。
調べると、人口が増加しているインドは車を所有する人が増えており、それに伴う交通渋滞や排気ガスや、工業化が進むなか、工場から出る排気も問題となっている、といった情報が出てきます。また、インドは再生エネルギーの割合も多いのですが、そもそも人口が多いため電力の需要も高く、火力発電所も多いことなどが、環境省の資料などで分かりました。
参考資料
https://www.jica.go.jp/india/office/activities/project/02.html
https://www.meti.go.jp/policy/voc/r1kaigai_taikikisei.pdf
https://www.env.go.jp/earth/%E7%9F%B3%E7%82%AD%E7%81%AB%E5%8A%9B%E7%99%BA%E9%9B%BB%E8%BC%B8%E5%87%BA%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%AF%E3%83%88%E9%9B%862020.pdf
地理への興味、世界の空気環境に興味が広がった
改めて息子に感想を聞くと、「普段よく行く場所は、アプリでチェックしてもいつも空気がきれいなことが多いよね。だから、SDGsの授業を受けても大気汚染ってピンときていなかった」と言います。
今回アプリで可視化したことで、地域によって汚れの差があることがよく分かったそうです。色やグラフの波形は、直感的な理解を助けます。
今回チェックした地域は、排気ガスや工場の排気などが空気の汚れの原因となっていることが多かったですが、空気の汚れに影響を与える要因は他にもあります。例えばオーストラリアやカリフォルニアで山火事が起きた際は、近隣の空気環境に影響がありました。
ブルーエアのアプリではリアルタイムで空気の質が分かります。普段は外出前に、行き先の空気をチェックしていましたが、これからはニュースなどを見ながら空気の質をチェックしても良さそう。我が家のこどもたちは動物のドキュメンタリーが好きなので、気になる動物が住んでいる地域をチェックするなどして楽しんでいました(一部チェックできない地域もあります)。
アプリを使ったことで、こどもの地理や空気環境への興味が広がり、空気の質への意識も高まりました。手軽にできるので、こどもと一緒にアプリをチェックしてみると楽しいですよ。
Text by 伊森 ちづる
ブルーエア空気清浄機
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家電流通業界誌記者を経て、フリーランスのライターへ。家電量販や家電メーカー関係者への取材も行う。自分でも家電を試し、売り手とユーザー両方の視点から記事を執筆。販売ツール監修、省庁に対して家電に関するレクチャーするほか、TVやWEBでも情報発信する。教育×テクノロージー、福祉×テクノロジーの取材も多数。
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