コラムColumn
こどもと一緒にネットリテラシーを学んで気がつく子育ての基本
いつの時代も子育ては変わらないというが、現代においては少し違う気がする。そう思っていた。一番の理由は、現代がIT革命を中心とした高度な情報化社会であり、ネットを使うことにより発生するリスクが大きいから。
SNS等を中心としたこどもを取り巻く環境は、私が育った昭和の時代とは全く違う様相を呈している。
我が家は自分が家電などの最新機器を執筆することが多い職業柄、家中にガジェットが散らばっている。当然こどももそれを使いたがり、幼少のころよりタブレットなどを扱ってきた。最初はお絵かきツールに始まり、現在はゲームまたYouTubeなどの動画サービスサイトなど、放っておけば一日中楽しめる環境にある。
親としてはメディア漬けになるのは避けたいところだが、この扱いは難しい。なぜなら、こどもたちの今後に人生においてデジタルガジェットと付き合うことは間違いなく、その扱いに慣れておかなければならないのもまた事実だからだ。
口うるさくネットの怖さを説いてみたが……
そこで当然のように重視しているのが、“ネットリテラシー”である。セキュリティやモラルの低い者がネットを扱うと、世界に向けて個人情報を公開したり詐欺などのトラブルに発展したりする場合がある。世間を賑わす“炎上騒ぎ”といった言葉もすっかり定着したが、我が子が被害者や加害者の当事者になるかもと思うと、ときに身が引き締まる。
10歳になる長女は「YouTube」がお気に入りだ。親からすると興味の沸かないユーチュバーや、こども向けのコンテンツを日々漁っている。時折タブレットを持って自室で見るようになり、何やらこそこそとしていることが増えてきた。あとで履歴を見てみると、特段隠す必要のないコンテンツだったりもするのだが、親に隠し事をするようになってきたようだ。
YouTubeもそうだが、最近はこどもが使用することを想定して広告や特定コンテンツを設定でブロックできる。要するに性的、暴力的、極端な政治的コンテンツといった「お前にはまだ早い!」案件だ。Twitterはまだやっていないが、いずれSNSで友人だけでなく、見知らぬどこかの人間とコミュニケーションを交わすようになるのだろう。
というわけで、ネットリテラシーを身につけさせると称して、今のうちから「ネットは怖いぞ」「炎上したら大変」「パスワードが流出したら銀行のお金がなくなるかもねー(適当)」といった感じで刷り込みを行ってきた。が、食卓でこういった話題をちょくちょく出す父親(筆者)に対し、場の空気はしらけ気味……。ちょっと間違ってる気がしてきた。
大事なのは親子一緒にいること。興味を示すこと?
そもそもだ。
ネットリテラシーで培うべき内容というのは、現実世界でも“やってはいけないこと”である。他人の身体的特徴や精神的信条を誹謗中傷してはならない。勝手に人の住所や顔がわかる写真をバラまいてはいけない。知らない人についていってはいけないetc。どれも昭和の時代に親や周りの大人から口酸っぱく言われたことばかり。
つまり、普通に今まで通りのことを教えればいいだけのような気がしてきた。とにかく問題は、親の目の届かないところで悪意ある人間から事件に巻き込まれるのを避けたいという点。
だから我が家ではGoogleにファミリーアカウントを作り、YouTubeだけでなくGmailやGoogle documentほか、家族みんなでひとつのネットサービスを使えるようにしている。これで家族一緒に情報が共有できるし、なんとなくの「見守り」になればいいなと思っている。
そう、結局はいつの時代も親のやることは同じというか、ネットだからとかリテラシーがどうという問題ではなく、いかにこどもと同じ時間、空間を共有し、社会性を持った大人に育つよう傍らにいてあげることが大事なのかもしれない。
我が家ではまだスマホはこどもに与えていないが、すでに周囲では持っている子も多いらしく遅かれ早かれ所有するようになるだろう。そのときまでに、興味があろうとなかろうと、こどもが注目しているユーチュバーや流行りのコンテンツくらい一緒に見るべきかもと思うのである。
Text by 三宅隆
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編集者/ライター。フリーランス、編集プロダクション、共同通信社勤務を経て、現在は徳間書店が運営するWebマガジン「&GP」副編集長を務める。家電、ガジェット、時計などを中心に執筆・編集を行う。2児の父で、料理を作るのは好きだが毎回おいしいとは限らない。
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